ルーピン先輩

 好きな人が出来た。一つ年上のリーマス・ルーピン先輩だ。儚く笑う姿も少し意地悪なところも、全部、全部が好きだった。だから、告白したのだ。ルーピン先輩が好きですと。困ったように眉を下げて断るルーピン先輩も格好良かった。

「なんでフラれた相手にそこまで付き纏うんだよ」
「? 気持ちを知って欲しいから告白したんです。返事なんてどうでもいいんですよ」
「ふーん」
「で、ルーピン先輩はどこですか?」

 ルーピン先輩の部屋を訪ねると、シリウス先輩とピーター先輩しか居なかった。嫌な予感がむくむくとしてきて、早く教えて下さいとシリウス先輩に迫ると「知らねえ」と言われた。じゃあ私の愛するルーピン先輩はどこにいるんですか、まさか他の女のところに……と床に膝をついて落ち込んでいると後ろから肩を叩かれる。

「ルーピン先輩!?」
「残念ながら違うよ。……リーマスなら医務室だよ。だから、」
「医務室ですね! ありがとうございます、ポッター先輩!」

 膝にくっついた汚れも気にせず走る。少しも休むことなく医務室まで走ったせいで死にそうになったが、ルーピン先輩の姿を見た途端疲れは吹き飛んだ。

「ルーピン先輩!」
「……ヘンリー?」
「そうです。……顔色悪いですね。大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。ありがとう」

 体を起こそうとするルーピン先輩をベッドに押し戻し、そっと頬を撫でると先輩の表情は和らいでいった。何度も撫でていると擽ったそうに身を捩るルーピン先輩。

「早く良くなって下さいね」
「……そうだね」
「寝るまで傍に居てもいいですか?」
「つまらないよ」
「ルーピン先輩と一緒に居るのが一番幸せなんです」
「…………そう」

 暫く複雑そうな顔をしていたが、そっと瞼を閉じるルーピン先輩。ルーピン先輩が静かに寝息をたて始めても私はその場から離れることはなかった。
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