団長成り代わり

 生まれてから死ぬまで鈍くさいと言われ続けた私は生まれ変わってからも鈍くさかったのです。何もないところで転んでは怪我をこさえ、お手伝いをしても上手くいった試しはなく、挙げ句、自分の父親に大怪我を負わせたどうしようもない私は、五歳の誕生日に流星街に捨てられてしまいました。悲しくないと言えば嘘になりますが、ホッとしたというのが本音です。これで、誰にも迷惑をかけることはないのだから。

「これからどう生きましょうか」

 ありがたいことに前世の知識がある私は普通の五歳児とは違い生きるすべを知っています。けれど生きるためだけに生きていくことは、今の私には難しく、生きる目的が欲しかったのです。
 そこで私は生きる目的を探すことにしました。ゴミの山を踏みつけて進む生きる目的を探す旅は、呆気なく終焉をむかえます。
 おぎゃあ、おぎゃあと泣き喚く赤ん坊は最近捨てられたばかりなのか血色のいい肌色をしていました。けれど生きるすべのない赤ん坊はこのままだと死んでしまうのでしょう。だから私はこの赤ん坊を生きる目的にしたのです。

「あなたの名前はマチですよ。マチを育てるために私は生きます」

 生きる目的を見つけることができた私は、幸せです。

130125
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