あいあむロコン

 名前の通り六本生えている尻尾の毛繕いをしていると、レッドが近づいてくる。ポケモンフーズを腕に抱えるレッドに近づこうと立ち上がると、レッドと私の間に三つの影が立ちはだかった。
 体が宙に浮き、目を丸くすると「いやん、かわい〜!」と女の子特有の声を出す彼女たちに、好き勝手頭を撫で回される。驚いて目を瞬かせるしかできない私を助けてくれたのはレッドで、彼の胸にすり寄るとぎゅうっと抱き締めてくれ、それが嬉しくて尻尾を振った。
 持ち主がきてよかったわね〜と手を振って去っていく女の子三人組みを尻尾を振って見送り、レッドの持ってきてくれたポケモンフーズにかぶりつく。

「おいしいか?」

 首を縦に振るとレッドは笑う。レッドの腕の中でお腹いっぱいご飯を食べ、膨れたお腹をさすっているとフシギダネが近づいてきた。私と同じくレッドの手持ちポケモンであるフシギダネは、私よりも前からレッドと旅をしていて、つまり、フシギダネの方が先輩なのだ。

『フシギダネ、どうしたの?』
『ん、んと! お腹いっぱいになったら眠く、ならない?』
『うーん、確かに少し眠たいかも……』
『な、なら僕と、一緒に寝ない? あっちに日当たりのいい場所があってね……』
『うん、いいわね。一緒に行きましょう』

 レッドの腕の中から這い出ると、フシギダネはとても嬉しそうに顔を輝かせた。にっこりフシギダネに笑いかけてから、レッドの服の裾を口で引っ張る。

「どうした、ヘンリー?」
「こん、こーん」
「?」
「きゅー」

 上手く伝わらないことにもどかしさを感じていると、フシギダネに背中を叩かれる。

『あの、』
『?』
『レッドさんも一緒なの?』

 面白くなさそうな顔をしているフシギダネに首を傾げていると、また体が宙に浮いた。先ほどとは違い、私がこれっぽっちも警戒をしなかったのは、大好きな人の匂いがしたからで、振り返るとそこにはレッドがいた。
 私を抱き上げたレッドはモンスターボールを取り出し、フシギダネをその中に入れてしまう。……私もモンスターボールに戻らなければいけないのかな、もうちょっとレッドに構って欲しかったのにな、と残念に思っていると、それが表情に出たのかレッドは私をモンスターボールに入れることはなかった。
 太陽がてっぺんで輝く中、レッドと私は木陰で昼寝を楽しんだ。大好きなレッドの腕の中で、とても幸せな夢を見た。

 レッド、だいすきだよ。レッドをチャンピオンにするために、私頑張るからね!

120906
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