※パンジー男体化

 父上も母上も、私を見放してしまったのかもしれない。
 毎日連絡すると言っていた両親からの音沙汰がなくなって以来、とても落ち込んでいた。重い足を引きずるように歩いていると、どこからか怒鳴り声が響いてくる。

「うるさいぞ、パーキンソン! ハリーに構うな」
「ウィーズリー、君には失望したよ。高貴な純血一族とは思えない。……おや? 君は、マルフォイだね。ヘンリー・マルフォイ」

 服屋で出会った男の子が、一人の女の子と二人の男の子に挟まれていた。四人の視線が私に集中したかと思うと、赤毛の男の子の顔が「嫌なものを見た」というように歪む。
 パーキンソン、と呼ばれた男の子は私の前までやってきて私の手を掬い取る。忠誠を誓うかのように甲にキスをするパーキンソンの動作は手慣れたものだった。

「俺はパンジー・パーキンソン。ヘンリーと呼んでも?」
「ええ、構わないわ。……あの、あなたはポッターで間違いないかしら?」

 パーキンソンに目を奪われているポッターに声を掛けると、驚いた顔をされたがすぐに首を振って肯定してくれた。ようやく彼と話す機会が訪れ、以前した失言を改めて謝罪をする。気にしてない、と笑顔を見せるポッターに肩から力を抜く。



「ヘンリー、この後一緒に食事しないかい?」
「でも、パーキンソンはスリザリン生なんじゃ?」
「パーキンソンではなく、パンジーと。……ヘンリーも、スリザリン生さ。ハッフルパフなんてなにかの間違いだ」

 パンジーの言葉に胸が高鳴る。私をスリザリン生と認めてくれる人が居るということだろうか。

「ヘンリーのご両親も、ヘンリーがスリザリンへ転寮できるよう働きかけていますよ。ヘンリーがハッフルパフに入ったのは間違いだ、と」
「父上と母上が……?」
「そうです。ヘンリーが一日も早くスリザリンに来ることを祈ってます」

 握ったままの私の手を引き寄せたパンジーはスマートにエスコートし始める。ポッターたち三人組に会釈をしてからパンジーに目を向けると、彼は完璧なまでの笑みを浮かべていた。
 愛想のいいパンジーに、にこりと笑い返そうとしたのだが頬の筋肉が引きつる。

「……どうかしたか?」
「いいえ、なんでも。早くご飯を食べましょう」

 今度は成功した笑みをパンジーに向け、大広間に続く扉を押す。ドアの奥にはすでに多くの生徒が集まっていてパンジーに促されるままにスリザリンのテーブルに座る。少なからず居心地の悪さを感じていたがパンジーがスリザリンの生徒に私を紹介してくれ食事を終える頃にはすっかり打ち解けられた。

120621
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