3 サクラとは相変わらずの友好関係を築いていたし、他の子からサスケの告白について問い詰められることはなかった。(それがチョウジとシカマルのおかげだということはもちろん知っている) サスケとは少し距離ができてしまったが、それでも日常生活に支障はなく毎日を楽しく過ごしていた。 「イタチ! 久しぶりっ」 「ヘンリーか。アカデミーは終わったのか?」 イタチとは週に数回会う間柄となっていたのだが、長期任務があったのか最近は全く会えず久しぶりの再会を喜ぶ。 イタチのことを知れば知るほど惹かれていった私は、彼がいないときもこの演習場に通っては少しでも彼に近付こうと修行を積み、おかげで成績がグンと伸びた。 「ヘンリー?」 「……サスケ?」 イタチの影に隠れるように立っていた見覚えのある顔に目を見開く。お互いに顔を見合わせ、気まずい空気が流れる。なぜサスケが……いや、うちはの近くだし、サスケがいてもおかしくないけれど、なんでイタチと仲良さげに並んでいるのだ。 サスケと私を交互に見たイタチは「知り合いか?」と首を傾げる。 「彼とは同じ学年なの」 「そうか。俺の弟が世話になってるな」 「………………は?」 イタチの言葉が理解できずにポカンと口を開けるとクツクツと笑うイタチの人差し指が私の唇に触れた。顔を赤くする私を面白がるようにさらに笑うイタチに「どういうこと?」と怒った口調で言うとまた同じ言葉を繰り返される。サスケが、自分の弟だと。…………。 「お、弟ぉおお!? どこが!? 似てないわよ!」 「……その反応は失礼だと思わないか、ヘンリー」 「だ、だって……まさか……」 告白してきた男子の兄貴に惚れるって、どこの漫画よ! 声には出さず叫ぶとガックリ膝をつく。 「サスケとヘンリーは仲が悪いのか?」 「……いや、ヘンリーとは仲良くしてる。な」 右手を差し出すサスケの顔をじっと見てからその手を握り締めると、強い力で引かれる。あまりにも強く引くのでサスケに衝突しそうになり、さらにはちゅーまでしてしまいそうになったのだが、サスケと私の顔の間に割り込んだ手が阻止をした。その手がイタチのものだとわかった瞬間湯気が出そうなほど顔が熱くなる。い、イタチの手にキスしちゃった! 「なにすんだよ」 「まだサスケには早い」 ふてくされたようにポケットに両手を突っ込むサスケと、そんな彼の頭を撫でるイタチはとても仲のいい兄弟なのだろう。サスケの顔がなんだかんだ嬉しそうにはにかんでいる。 私の恋は多難のような気がするが、それでもこの恋を実らせようと意気込む。絶対ハッピーエンドにしてみせるんだから! 120617 目次/しおりを挟む [top] |