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 始めはどうなることかと思った今回の任務だが、特に問題もなく順調に進んでいた。これなら予定していた期間より早く終わるかもしれないと我愛羅に伝えると、彼は表情を変えずに喜んだ。里のことを真剣に考えていることが伝わってきて、我愛羅にたいする認識を改める。

「我愛羅のサポートのおかげでやりやすいわ、ありがとう」

 砂を使ってアシスタントをしてくれた我愛羅に笑みを向けると、彼は驚いたように目を見開いた後顔を逸らした。顔を覗こうとすると我愛羅の砂に邪魔をされ、もしかしたら照れているのかもしれないと無理強いするのを止めると腕を掴まれる。驚いて肩を揺らした私に謝罪をし手を離そうとする我愛羅の手を自ら握り締めたのは、我愛羅がひどく傷ついているような気がしたからだ。ゆるく手を握り返してくる我愛羅の瞳は、戸惑いで揺れている。

「ねえ、我愛羅。私、あなたを誤解していた」
「……」
「心のない冷たい人だと思ってた。でもあなたは、人一倍傷つきやすいのね」

 陶器のような白い肌に指を這わせ、隈に囲まれた瞳を覗き込む。我愛羅と視線が絡み見つめ合うこと数秒、頭の後ろを誰かに押された。
 それが我愛羅の砂であることに気づく前に重なった唇に狼狽し、両手で口を覆いながら後ずさる。大声で叫びたい気持ちを飲み込んだのは、我愛羅がキョトンとした顔をしているからだ。まるで握手をしただけかのようなリアクションをする我愛羅に耳まで顔を赤くしている自分が馬鹿らしくなる。

 次の日、無事任務を終えた私たちは現場解散となり、釈然としない気持ちを抱えたまま木の葉の里に舞い戻る。迎え入れてくれたシカマルとチョウジに任務の報告ついでに余計なことまで零すと、チョウジの袖で唇を乱暴に拭われシカマルにリップクリームをプレゼントされた。

120826
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