*96 ハロウィンの翌日。双子は朝っぱらからゴリラの物真似をしていた。相手にするのも馬鹿らしいと放っておいたのだが人目を気にせずゴリラになりきる二人はいい加減鬱陶しい。 「それ以上その真似をするというなら、舌と顎をくっつけるわよ」 ジロリと睨み付けるも全くこたえる様子のないフレッドとジョージさんに杖を向けるとようやく二人は黙った。 隣に座っているハーマイオニーが私の杖を取り上げ何があったのか尋ねるが、正直に言うのは気が引けて言葉を濁す。なんでもないの、と食事を再開すると双子がニヤリと笑う。ハーマイオニーの肩を叩き口を開こうとするフレッドの首を引っ張ると首が絞まったのかげふっと変な声を出した。 「隠すことじゃないだろ。ハーマイオニー、ヘンリーはね、」 「ハーマイオニーに変なことを言わないでちょうだい!」 フレッドのポケットから拝借した杖で舌がもつれてしまう呪文をジョージさんにかける。声が出ないにも関わらず身振り手振りで伝えようとするジョージさんに「もう知らないっ」と言って席を立つとフレッドが楽しそうに笑う。返そうと思っていたフレッドの杖をポケットに仕舞いハーマイオニーの手にある自分の杖もポケットに仕舞うと、大広間を後にした。 120613 目次/しおりを挟む [top] |