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 ハロウィンは、双子との約束の日でもあった。何を命令されるのだろうと戦々恐々していたのだが「悪戯の手伝いをして欲しい」という思っていたよりずっとマシな命令に安心する。

「これを広間にバラまくんだ。手順を間違えるなよ」

 真剣な表情のフレッドに頷き手の中にあるスニッチより小さいボールを握り締める。
 フレッドの合図でこれを投げ、私たちがやったとバレる前に生徒の中に紛れ込むというのが一連の流れだ。魔法を使うと教師にバレる可能性があるから絶対に使うなと念を押される。

「ねえ、ご飯食べるフリをしながら投げた方が安全じゃないかしら?」
「なにを言ってるのさ!」
「このスリルが楽しいんだろう!」

 わかってないな、とこれ見よがしに溜息を吐くフレッドにイラっとして彼の足を踏むと大袈裟に痛がる。それに気付かないフリをしてあらかじめ決められた配置に着くと、フレッドは痛がる真似を止めてポケットの中から私の持っているものより一回り大きいボールを取り出した。

「(いくよ。1……2…………3!)」

 口をパクパクさせるフレッドが手を下げるのに合わせて手に持っているそれを投げる。まるで本物のボールのように数回跳ねたそれからもくもくと煙が立ち上り驚いたがその場で固まっているわけにもいかず急いでレイブンクローのテーブルを目指す。視界が悪くて何度か躓いたけれどなんとか椅子に着くことができホッと肩を下ろした。

120527
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