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 ギルデロイ・ロックハート先生の授業は、正直期待外れだった。素晴らしい人間だからといって素晴らしい授業になることはないのだということを学び、今日も退屈な授業を受ける。
 闇の魔術に対する防衛術の授業はあまり好きではない。去年のクィレル先生の教え方が私に合っておらず基礎を理解出来ていないのが原因だろう。羊皮紙の端に落書きをしていたら隣に座っているアダムスさんに肘で脇を小突かれる。

「さて今日は、人狼と戦ったときのことを教えよう」

 そう言って本に書いてあることを実演し始めるロックハート先生。実際に魔法を使わないのかしら、と杖を弄っていたら「ミス・ヘンリー!」とロックハート先生に大きな声で名前を呼ばれた。慌てて返事をすると授業の後に残るように言われ、今までどの授業でも呼び出されたことのなかった私は狼狽する。そんなに私の授業態度は悪かっただろうか。いや、でも机に突っ伏して寝ている人も居るのに私だけ呼び出されるのは筋に合わない。いくら考えても答えが出ることはなく、授業が終わるまでの時間を冷や汗を流しながら待った。

「君が優秀な魔女だと聞いて個人授業をしてあげようと思って」

 白い歯を見せてにこやかに笑うロックハート先生の言葉に肩から力が抜ける。怒られると思っていたのだがむしろ好意的に接してくれるロックハート先生がちょっとだけ好きになった。身振り手振りで一生懸命に話してくれる先生の話は授業などより面白く、夢中になって聞いていたら扉がノックされる。入ってきたのはポッターくんで、入学のときの罰を受けに来たそうだ。ロックハート先生のファンレター書きを手伝うポッターくんの邪魔にならないように部屋を出ると、部屋の前にはフレッドとジョージさんが待ち構えていた。

120524
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