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 ポッターくんが気絶して何日が過ぎただろう。ハーマイオニーもウィーズリーくんもとても心配している。山のように積み上げられたお見舞い品に千羽鶴を加え、パイプ椅子に腰を下ろす。

「ハーマイオニーから聞いたわ。賢者の石を守ったんですってね。……なんで私にも声を掛けてくれなかったのよ」

 相手は寝ているというのに、日本語でしか文句を言えない私は臆病だ。目を閉じているポッターくんの顔に、いつもの眼鏡はない。……彼が死んだかもしれないなんて、なんて恐ろしいのだろう。

 はらはら溢れる涙が、重力に従って落ちていく。

 未来が見えるというのに「見よう」としないから今回のことにも気付けなかった。未来という重みに堪え切る自信が、ない。望んでいない未来だったらどうすればいい? 変えることの出来ない未来ならどうしたらいいの?

「ヘンリー?」

 そっと肩に、手が乗せられる。目線を合わせるように屈むジョージさんの指が、零れる涙を掬いとる。何も言わずにただ傍に居てくれるジョージさんに目を合わせた。

「私ね、トランプ家の長女なの」

 言葉の意味を理解したのかしていないのかはわからない。わかって欲しいような、欲しくないような、矛盾したもどかしさ。沈黙に堪え切れなくなって立ち上がると、タイミングを見計らったように見舞い客がやって来て入れ替わるように医務室を後にした。

120426
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