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 教科書を抱えて図書室に向かっていると、マルフォイくんと擦れ違った。最近よく擦れ違うな、と思ったが、気付かなかっただけで今までも擦れ違っていたのかもしれない。

「やあ、ヘンリーじゃないか」

 擦れ違う、といっても、隣ではなく少し遠くをマルフォイくんは歩いていたので会釈すらすることなく通り過ぎようとしていたのだが、挨拶をされたので頭を下げる。
 私の手元を見たマルフォイくんは「授業はもう終わりだろ? ……これからお茶をしようと思ってたんだ。ヘンリーもどうだい?」と誘ってくれたのだが、これからレポートを仕上げる予定があるので断った。それは残念だと私の代わりに嘆いてくれる彼にお礼を言って、じゃあ、と去ろうとしたのだが「僕が手伝ってあげよう」と腕を掴まれた。
 ジョージさんにマルフォイくんとは関わるなと言われていたので断ろうとしたのだが「遠慮することはないさ」と話は進んでいく。……。まあ、いいか。

 そういえば、マルフォイくんは魔法薬学が得意だという噂を聞いたことがある。真相を確かめると「まあね」と胸を張るマルフォイくん。ちょうど魔法薬学のレポートをやるつもりだったので、彼に聞ければ早く終わるかもしれない、とほくそ笑んだ。

120420
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