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 へえ、と相槌を打つジョージさんの手の中にある紐を拝借し、切り取った自分の髪と共に手の中に握る。
 杖をゆっくり振りながら、息を吸い込む。


 わたしわたし ささげます
 あなたあなた もらいます
 あわさったら すてきでしょ


 民謡のようなメロディーに声を乗せると、髪の毛は少しずつ紐に吸収されていく。元通りになった紐を見て「わーお」と感心したような声を出し、右や左、はたまた下から覗き見るジョージさんの手に紐を乗せた。

「不思議な言葉だね。ヘンリーの母国語かい?」
「そうよ」
「なんでこんなに素晴らしい魔法を教えてくれなかったんだ」
「言う機会がなかったのよ。……あの、髪を使っているなんて嫌じゃない?」

 尻すぼみになっていく言葉もきちんと聞いてくれるジョージさんにいたたまれなくなりつつ、言葉を紡ぐ。

「クリスマス休暇で実家に帰ったとき、近所の子に言われたのよ。髪は気持ち悪いって、それで、」
「僕が気持ち悪いと言ったか?」
「……いいえ」
「むしろ嬉しいよ。ヘンリーの一部ってことだろ?」

 紐を括り付けたジョージさんの右手が、伸びてくる。避けることが出来ずにただその手を見つめていると、後ろから襟元を引っ張られた。首に布が食い込み息が詰まる。

「お楽しみのところ悪いね、お二人さん」
「……フレッド」

「突然僕を置いていったと思ったら、いちゃこらしていたのかジョージ」
「これからってとこでわざと邪魔したんだろ、フレッド」

 ……喧嘩をする前に、首にある手を離してくれないだろうか。

120417
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