*53 クリスマス休暇に帰省した。 ジョージさんが残って欲しそうにしていたが「家族に会いたい」と言うと、すんなり見送ってくれた。 久しぶりに会った両親に抱きつくと、懐かしい香りが鼻をかすめる。 温かく歓迎してくれるお父さんとお母さんに思わず涙ぐむと「しょうがない子ね」と笑われた。 家に帰り最初に手をつけたのは、宿題である。ハーマイオニーにきつく言いつけられたのだ。 数日かけて全て終わらせ、気分転換に街へ出た。「仲の良い人には必ずクリスマスプレゼントを贈りなさい」とお父さんが渡したお小遣いを大切に握り締める。 ハーマイオニーには日本地図と日本語を学べる教科書、ウィーズリーくんとポッターくんにはお土産用の日本刀、フレッドとジョージさんにはイギリスで売っていない悪戯グッズ、アダムスさんとドリトルさんには色違いのペンダント、他の人にはお菓子の詰め合わせを買った。マクゴナガル先生には特にお世話になったので、高めのお菓子を包んだ。 クリスマスは瞬く間にやってきた。部屋の一角に、プレゼントの山が一つ。 包装紙を破いてしまわないように開けていたら随分と時間が過ぎてしまったようで、下りてこない私を心配したお母さんが扉を叩く。 「お母さん! とても素敵な財布ありがとう!」 「ふふ、どういたしまして。凄い量のプレゼントね、きちんと皆に送ったの?」 「うーん……送ったつもりだったんだけど、何人か送ってない人からも来てた」 「なら一緒に買い物に行きましょう」 新しいネックレスを胸に付けたお母さんは、上機嫌だ。きっとお父さんにプレゼントしてもらったのだろう。 相変わらず仲の良い両親に、胸いっぱいの幸せを感じた。 120413 目次/しおりを挟む [top] |