*52 ポッターくんと仲直りできたと思っていたのだが、あれからまた避けられている。 ある日、人気のない道でポッターくんと出会った。私を見た途端固まるポッターくんの手から教科書が落ちる。 落ちた荷物を拾ってあげると、ほんのり頬を赤くしたポッターくんにお礼を言われた。 「どういたしまして」 しっかりと持ち直した彼を確認してからその場を去ろうとすると、ポッターくんに呼び止められる。ヘンリー、と久々に名前を呼ばれた。 「僕、諦めないから」 いったいなんのことだろうとポッターくんを見返すと、彼は踵を返してどこかへ行ってしまう。 今までのポッターくんとのやり取りを思い出し、もしかしたらポッターくんは私のことが好きなのではないかと自意識過剰なことも思ったが、好かれるようなことをした覚えがない。 それからは会えば普通に挨拶もお喋りもしてくれ、一時のいざこざは記憶の奥へ消えていった。 120412 目次/しおりを挟む [top] |