48

 マクゴナガル先生の特訓を何度受けても無言呪文を修得することは出来なかった。だが、完璧ではない無言呪文と完璧ではない呪文を合わせることにより魔法の成功率は飛躍的に上がった。

「一年生にしてはよく出来ています。授業に問題もなくなったようですし、無言呪文の特別授業は今日で終わりにしますか?」
「いいえ! まだ続けたいです! ……あ、マクゴナガル先生がよろしければ、ですけど」

 授業外にこれ以上迷惑かけるのはどうだろう、とマクゴナガル先生の顔色を窺うと、予想に反して先生は笑みを浮かべていた。仕方ありませんね、と私の我が儘を受け入れてくれた先生に「ありがとうございます! 頑張ります!」と頭を下げる。
 練習を再開するように言う先生に促されるまま、杖を振る。マッチ棒が細く白くなっていくが、とても針と呼べる代物ではない。同じ動作でもう一度杖を振ると、鈍い灰色に変化した。

「きちんと魔法の工程を意識して杖を振りなさい。意識が乱れています、そんなことじゃいつまで経っても修得できませんよ」

 的確に指示を飛ばすマクゴナガル先生の言葉に頷き、額の汗を拭う。途切れそうになる集中力を叱咤し、再び魔法をかけた。――結局その日も満足に無言呪文を使うことが出来ず、すごすごマクゴナガル先生の私室を後にした。

120408
目次/しおりを挟む
[top]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -