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 さあ始めましょう、と腕捲りをするマクゴナガル先生はどこか楽しそうだ。
 マクゴナガル先生を目の前にすると無条件で背筋が真っ直ぐになるのは先生の教育の賜物だ。姿勢を正した私を見て満足そうな顔をしたマクゴナガル先生は、慣れた手付きで机の上に転がっているマッチを針に変身させる。魔法、と言ってもただの魔法ではなく、無言呪文という高等魔法だ。初めて見たその呪文に目を輝かせて拍手をすると、万更でもなさそうに先生は笑みを浮かべる。

「本来なら貴女の学年で無言呪文を習うことはありません。何故なら、貴女たち一年生には使いこなすことの出来ない高度な魔法だからです」
「はい、本で読んだことがあります。無言呪文は基礎をしっかりと理解した上で行わなければ、呪文が発動しないばかりか暴走した魔力が自分、もしくは周りの人を傷付ける危険な魔法です」
「その通りです、よく勉強していますね。レイブンクローに五点差し上げます。……さて、これから貴女に無言呪文を教えます」

 予想はしていたけれど、はっきりと告げられた言葉に心臓がドクリと脈打つ。フレッドやジョージも扱うことが出来ない魔法をこれから習うのだ。私の期待が伝わったのか「簡単ではありませんよ」と咎めるマクゴナガル先生にしっかりと頷いてみせ、杖を手に取った。

120407
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