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 薬草を使った実験をするのは好きだが、薬草そのものを作るのは苦手である。今日の薬草学で二人組みのペアを組むことになったが、相手の足を引っ張ることになりそうだ。

「あの、どうしたの?」

 控えめに声を掛けてきたのは今回ペアを組むことになったリクダウトさんである。リクダウトさんはとても薬草学が得意で、いつも先生に得点を貰っている。溜息の絶えない私を心配してくれるリクダウトさんに思い切って悩みを打ち明けると、驚いたような顔をされた。

「ごめんなさい、私とペアになってしまって」
「ううん、貴女と組めて嬉しいわ。でも、意外ね。ヘンリーって他の授業では活躍してるじゃない」
「活躍?リクダウトさんの活躍の方が凄いわ」

 薬草学に限らず彼女が入ったグループが失敗したところを見たことがない。リクダウトさんがグループを仕切っているわけではないが、仲間が失敗しそうなときのフォローが素晴らしいのだ。いつか一緒に組んでみたいと思ってはいたが、まさか苦手な薬草学でペアを組むことになるとは。

「そんなこと言われるの初めてよ。よく見ているのね」

 リクダウトさんが目立つからよく目に入るのだが、それを鼻にかけたりしないとても謙虚な女の子らしい。それとも本当に自分の凄さに気付いていない天然なのだろうか。

120404
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