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 ジョージさんの足に括り付けた紐の魔法効果は、一週間くらいで切れてしまった。が、私の魔法がジョージさんの体に染み込んでしまったのか、単純に二人を見分けるコツを掴んだのか、フレッドとジョージさんを見分けることは変わらずに出来た。

「おい、フレッド! ヘンリーが居たぜ」
「……」
「ヘンリー、中庭に行かないか?」
「新しいグッズを開発したんだ。なあに、心配は要らない。ジョージが実験台になって安全性は実証済みさ」

 ニヤリと笑うのは、ジョージさんだ。お互いの名前を逆に呼ぶフレッドとジョージさんに首を傾げる。私が見分けられることを知っている筈なのに何故こんなことを。……もしかして。さり気なくフレッドの足元を確認すると、足首に例の紐が巻いてあった。
 二人に紐の効果が切れたことを教えなかった、というか、見分けられることは変わらないのだからと話す必要性を感じなかったため言っていなかった。二人は紐を付け替えて、私を騙そうとしていたのだ。

「どうした?」

 顔を覗き込んでくる二人に、たまには仕返しをしてもいいだろう。ジョージさん(本当はフレッド)に必要以上に恋人らしいことを迫ったり、フレッド(本当はジョージさん)を冷たくあしらっていたら、観念した二人が入れ替わっていたことを白状する。「知っているわ」とニヤリと笑うと二人とも悔しそうな顔をした。

120403
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