*42 柵を両手で掴み、競技場に落ちてしまいそうなほど身を乗り出す。隣に居るドリトルさんも同じような体勢だ。一見おとなしく座っているように見えるアダムスさんでさえも、珍しく興奮している。 赤と緑が交差するフィールドに、皆が夢中だった。 「今のプレーみた? とっても素晴らしいわ!」 「そこよ、いけ! そう! ……やった! ゴールしたわ!」 「キャー!」 歓声を上げ、ドリトルさんと抱き合う。隣に居るレイブンクローの先輩も、ハッフルパフの生徒も、何よりグリフィンドール生は大喜びしている。手を取り合ったり、選手に手を振ったり、各々喜びを最大限に表現している。 「……あら?」 「どうしたのかしら」 「様子が変ね」 上空を自由自在に飛び回り、シーカーの役目であるスニッチ探しをしていたポッターくんの様子がおかしい。箒がポッターくんを振り落とそうとしているのだ。騒めきが広がり、心配する声が囁かれる。グリフィンドールのビーターがポッターくんを助けようと奮闘するも上手くいかない。ハラハラと生徒が見守る中、突然、ピタリと箒が止まる。箒が直った、と皆が安堵したのも束の間。箒はポッターくんを乗せて急降下していく。 「スニッチよ!」 「グリフィンドールの勝利だ!」 ポッターくんが掲げた金のスニッチに、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクローが立ち上がる。 その日、レイブンクロー寮でもグリフィンドールの勝利を祝うパーティーが開かれた。 120402 目次/しおりを挟む [top] |