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 柵を両手で掴み、競技場に落ちてしまいそうなほど身を乗り出す。隣に居るドリトルさんも同じような体勢だ。一見おとなしく座っているように見えるアダムスさんでさえも、珍しく興奮している。
 赤と緑が交差するフィールドに、皆が夢中だった。

「今のプレーみた? とっても素晴らしいわ!」
「そこよ、いけ! そう! ……やった! ゴールしたわ!」
「キャー!」

 歓声を上げ、ドリトルさんと抱き合う。隣に居るレイブンクローの先輩も、ハッフルパフの生徒も、何よりグリフィンドール生は大喜びしている。手を取り合ったり、選手に手を振ったり、各々喜びを最大限に表現している。

「……あら?」
「どうしたのかしら」
「様子が変ね」

 上空を自由自在に飛び回り、シーカーの役目であるスニッチ探しをしていたポッターくんの様子がおかしい。箒がポッターくんを振り落とそうとしているのだ。騒めきが広がり、心配する声が囁かれる。グリフィンドールのビーターがポッターくんを助けようと奮闘するも上手くいかない。ハラハラと生徒が見守る中、突然、ピタリと箒が止まる。箒が直った、と皆が安堵したのも束の間。箒はポッターくんを乗せて急降下していく。

「スニッチよ!」
「グリフィンドールの勝利だ!」

 ポッターくんが掲げた金のスニッチに、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクローが立ち上がる。
 その日、レイブンクロー寮でもグリフィンドールの勝利を祝うパーティーが開かれた。

120402
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