03

 自己紹介をして初めて、黒髪の彼がハリー・ポッターだということを知る。魔法族なら誰でも知っているほど有名な、ハリー・ポッター。もちろん私も知っていた。こんな有名人と話をしていてもいいのかしらとドギマギしていると、遠慮がちな音をたててドアが開く。

「あの、ここ、いいかな? 他はどこもいっぱいで」

 見覚えのある赤い髪。けれど、間違えなく初対面の男の子が立っていた。……ホグワーツは、カラフルな髪をした人がわんさかいる学校らしい。
 ポッターくんに目配せすると、意図を読み取った彼は、窓際に詰めて座り直してくれた。ホッと息をついてお礼を言う赤髪くんの荷物を、三人でコンパートメントに運び込む。

「君たちも、新入生?」

 気さくな態度で話し掛ける赤髪くんの言葉に、二人で同時に頷く。その鏡のような動作が面白かったのか、ケラケラ笑う赤髪くん。まだまだ不安はあるけれど、ポッターくんと赤髪くんと会えて良かった、と肩から力を抜いた。

120223
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