*37 アダムスさんとドリトルさんとカボチャずくめの料理を堪能していると、突然、大広間の扉が開かれた。「トロールが!」というクィレル先生の大声が響き渡る。――クィレル先生一人だったとはいえ、ホグワーツの優秀な先生の手に負えない凶暴な生き物が侵入したのだ。 自分の心配よりもまず、フレッドとジョージさんの確認をする。あの双子は面白がってトロールに戦いを挑みにいきそうだ。いくら探しても二人の姿は見付からず、本格的に心配をしていたら「大変なことになったな」「ちゃんと寮に帰るんだぜ」と当たり前のように隣にいる二人に肩を叩かれた。 「二人とも、グリフィンドールにいないと駄目じゃない、」 「すぐ戻るさ」 「ヘンリーが心配だったんだよ」 ぎゅっと抱きついてきたのはフレッドである。ジョージさんが眉をしかめて睨んできたので、即座にフレッドの腕の中から抜け出す。 フレッドとジョージさんの背中を両手で押し、自分の寮に戻るように言う。「仕方がない」といった様子でグリフィンドールへと戻っていく二人を見送ってから、監督生の指示に従い速やかに寮へと避難した。 「おかしいわ」 片眉を上げるアダムスさんにどうしたの?と問い掛けると「お馬鹿なトロールがどうホグワーツに入ってきたのかしら」と腕を組ながら悩み始めるので、ようやく何かがおかしいことに気付いた。偉大な魔法使いであるダンブルドア校長先生が学校を取り仕切っているというのにトロールが易々と入ってこれるのだろうか?考えても答えが出ない疑問に悶々としつつ、引き続き寮で開かれたパーティーには参加せずに布団に潜り込んだ。 120328 目次/しおりを挟む [top] |