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 漸く納得してくれたかと思ったらそれまでうろたえていたのは演技かと疑いたくなるほど得意そうな顔で両腕を伸ばしてくるジョージさん。反射的にその手を避けるとムッとした顔をされた。条件反射なのだから仕方ないと言い訳しつつどう機嫌をとろうと様子をうかがっていると右手を差し出しくる。自分のものより一回りは大きいその手に自分の手を重ねると、とても嬉しそうな顔をするジョージさん。恥ずかしくなって手を引っ込めようとしたのだが、強く握られた手はびくともしない。

「…………」
「なんだい?」
「……いいえ、なんでも。そういえば、ポッターくんの教科書は大丈夫かしら」

 ジョージさんに抱えられたときに腕の中から零れるように落ちた教科書たち。二度目となる衝撃に耐えられたのだろうかと今さらながらに心配をしていると、繋がったままの腕を引っ張られる。いつぞやのように杖と古ぼけた羊皮紙を左手に持ったジョージさんは、誘導するように私の一歩前を歩く。

「ここに入るよ」

 いつの間にか羊皮紙を仕舞ったジョージさんは、一例に並んでいる鎧の頭を華麗な回し蹴りで飛ばす。ガシャン。……。なんてことをするのだと固まっていると、飛んでいった頭を追い掛けるように鎧が動きだした。ガシャン、ガシャンと動く鎧を目で追っていると肩をつつかれる。鎧が居たところに現れた扉を慣れたように開けて入っていくジョージさんに引っ張られ足を進めた。

120326
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