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 滅多に授業で使うことはない埃を被った空き教室で、双子の新商品をお披露目することになった。調理に使うボールや布巾等これから料理を始めるのかと問いたくなるような物を用意し始めるフレッドとジョージさんの隣で部屋を綺麗にする呪文を唱えていたら「はい、これ」と灰色の飴玉を手のひらに乗せられる。奇妙な色の飴玉を怪しむように光に透かしたり匂いを嗅いでいると早く食べてくれと急かされ仕方なく口に放り込む。
 胃の中で「何か」が膨れ上がる感覚がし、「何か」は下へ下へと下ってきて、思わずトイレに駆け込んで数分。女子トイレの扉を開けると、参ったという顔をした双子が待ち構えていた。

「ごめんよ、失敗みたいだ」
「本当は嘔吐するはずなんだ」

 胸と口に手を当てて吐く真似をする双子を見て、人前で戻してしまうよりはマシだと思ってしまった私は、少しずつ双子に汚染されている気がする。

「そういえば、クッキーは食べてくれた?」
「ああ、おかけで今日の僕らは人気者さ」
「欲しいって奴が居るんだけど、まだ余ってる?」

 擦り手をするジョージさんの手にクッキーを乗せると、感謝のハグをされた。脊髄反射のようにその抱擁を避けると、かわされたのが気に入らないのかムキになって追い掛けてくるジョージさん。「逃げようとした罰だ」と必要以上に密着され、耳まで赤くなる。つられたようにジョージさんも赤くなるものだからフレッドにからかわれることになった。

120320
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