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 フレッドとジョージさんと別れハーマイオニーのところに訪れたときには、ハーマイオニーの皿の中身は空っぽになっていた。フォークとナイフの代わりに難しそうな分厚い本を手にするハーマイオニーに声を掛けるべきか悩んでいるとハーマイオニーの方がこちらに気が付いてくれたようなので片手を挙げる。

「おはよう、ハーマイオニー」
「おはよう、ヘンリー。ウィーズリー家の双子と何を話していたの?」
「クッキーを渡していたのよ。はい、ハーマイオニーの分」

 他のクッキーとは別の包装紙で包んだものをハーマイオニーに渡すといつもより柔らかい表情をする。恐らく、喜んでいるのだろう。
 ちなみにハーマイオニーに渡したクッキーには何も魔法がかかっておらず、ハーマイオニー専用に作ったものである。ハーマイオニーは普通のクッキーの方が喜んでくれる、というかハーマイオニーに悪戯を仕掛けたりしたら怒られてしまいそうだったので悪戯用のクッキーをあげるのは止めておいたのだ。

「これのことだったの?」
「?」
「ハロウィンを楽しみにしててって、言っていたじゃない」
「違うわ、今日はもっと素敵なことがあるのよ」

 ただのクッキーを「楽しみ」と認識してくれたハーマイオニーに嬉しくなると同時に早くハーマイオニーの喜ぶ顔が見たいと思った。

120317
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