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 ポッターくんの活躍を観にきたクディッチ場で、昨日の赤髪くんに会った。図書館で彼にかけた黒髪の魔法は一週間、少なくとも三日はもつはずのものなのだが失敗してしまったのだろう。彼の頭は、綺麗な赤に戻っている。糸や紐で試したときは上手くいったのだが、実用化するには改良が必要らしい。

「いつ色が戻りましたか?」

 今後の参考にしようと声を掛けると、キョトンとした顔をされた。自分の髪を一摘みしながら同じ問いを繰り返すと意味が通じたようで首を振る。

「まだ、黒のままだよ」

 真っ赤な髪をしながら何を言うのだと、ジトリと見つめる。一度瞬きをした赤髪くんはなにやら一人納得したように頷き、空を指差す。指の先を目で追うと、ビュンビュンと空を飛び回るクィディッチ選手の男性が一人。それがどうかしたのかと赤髪くんに向き直ると、もっとよく見ろと言われる。もう一度指を辿り青年を見ると、そこには昨日図書館で会った赤髪くん改め黒髪くんが居た。赤髪くんが黒髪くんで、赤髪くんも赤髪くん。赤髪?黒髪?頭が混乱してきたところで赤髪くん改め黒髪くんが目にも止まらぬ速さで飛んできた。

「昨日はよくもやってくれたね」

 ストンと華麗に着地した彼の名はフレッド・ウィーズリー。そしてフレッドにそっくりな赤髪の彼は双子の兄弟ジョージ・ウィーズリーさんだそうだ。ジョージさんにフレッド、と確認するように繰り返すとなんで俺だけ敬称がないんだと頭を叩かれる。フレッドサンと呼び直したというのにまたもや叩かれたのは何故だろう。

120308
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