*133 ヘンリーの父親が足を止め振り返り、並んでいる人物を確認していく。ハリー、ロン、ハーマイオニー、ルーナ、ジニー、フレッド、マクゴナガル先生……ざっと見ただけでも、それなりの人数が居る。みんな傷付き、疲れているというのに、こんなに多くの人が集まるのはヘンリーの人望だろう。 「ヘンリーは生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。もしかしたら、死ぬことすら許されず消えてしまったのかもしれない」 寂しそうに遠くを見つめ、語り出すヘンリーの父親。 トランプ一族では死ぬ運命の人を助けるのは禁忌とされていて、もし禁を破れば、その人間に厄が降りかかるといわれている。 死ぬ運命を見ることができる人間はトランプ一族でもそうはいなく、厄というものがどういうものかはわからないが、ここにヘンリーが居ないのは―― 「ヘンリーは禁を破ったのですね」 寂しそうなハーマイオニーの声が響き、ヘンリーの父親が頷く。 今回の戦いでは死人がたくさん出た。その中から誰かを助けていたとしても不思議ではない。もしかしたら――いや、確実に、この場にいる誰かの命をヘンリーは助けたのだろう。それは、僕の命かもしれない。 「ヘンリーが生きている可能性は?」 「……わからない。過去のトランプ一族にも禁を破った人は居たが、無事だった人間はほとんど居ない」 「ほとんど?」 一人だけ、戻ってきた人物が居る。 その言葉に、みんなの表情に希望がみなぎった。 121011 目次/しおりを挟む [top] |