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 最後の戦い

 ハリーが死んだ。ヴォルデモートに狙われ唯一死ななかった赤子が、大の大人すら怯えるヴォルデモートに堂々と戦いを挑んだ少年が――僕の大切な友人が、この世からいなくなってしまったのだ。
 放心する僕の腕を掴んだのはフレッドで、掴んだ腕を揺さぶりながらフレッドは何事かを叫んでいる。心ここにあらずの僕の頬を、フレッドは手加減なしにひっぱたいた。

「ジョージ! 大変だ!」
「わかってるさ……みんなが見た。死んだ、ハリーを」
「違う! ――ヘンリーが、いたんだ!」

 久しく耳にしなかった名前に顔を上げると、フレッドが強く頷く。信じられない気持ちで周囲を見渡してもヘンリーの姿は見つからなかった。
 杖を構えた死喰い人に武装解除の魔法をかけて必死に首を動かす。フレッドも、必死にヘンリーを探した。ヘンリーを知る人間に声をかけ、戦いを放棄し、彼女の姿を探す。そして、ついに彼女の姿を見つけた。

「ヘンリー!」

 弾かれたように顔を上げた女性は確かにヘンリーで、最後に見たときより数段大人びた彼女は綺麗に笑う。
 隣で叫ぶハーマイオニーの声がどこか遠くに聞こえ、吸い込まれるようにヘンリーを目指して駆け出した。

121007
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