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 魔法薬学が、好きだ。
 実験は人並み以上に出来るし、授業内容も面白いとも思う。しかし、レポートの作成がとても苦手で、人の倍は時間がかかってしまう。
 それでもなんとかスネイプ先生に目をつけられることなくこなしてきた自分に拍手を送りたい。スネイプ先生に目をつけられた生徒は、毎回授業でネチネチ言われるのだ。これからも精一杯精進していこう。
 楽しみなのか息苦しいのかよくわからない授業が、今日も始まる。

「やあ、ヘンリー」

 片手を上げて近付いてくるのは、鈴木くんだ。魔法薬学の最初の実験のときに二人組みを作れと指示をされ、アダムスさんとドリトルさんに一緒に組もうと誘われ困っていると同じく困り顔をしたハッフルパフの男の子が目に入った。その一件以来いつも実験を行っているのが鈴木くんである。本名はスジャータなんとかくんなのだが、呼びにくいので鈴木くんと呼ばせくれないかとお願いしたら快諾してくれた。良い人だ。
 彼との共同作業はとてもやりやすく、今日も見事に指示通りの緑色にすることが出来た。――多少くすんでいる気もするが。

「ヘンリー、今日の昼食一緒に食べない?」

 出来上がった薬品を小瓶に移し替えているとそんな申し出をされた。食事の時間はグレンジャーさんとの数少ない交流の場なので遠慮すると、それなら今日の授業が終わった後に図書室に行かないかと誘われる。勉強のアドバイスは出来ないよ、と返すとオレが教えるよと言われたので、それならと頷いた。
 そのことを一緒にお昼を食べたグレンジャーさんに話すと、ニヤニヤし始めた。

「ハーマイオニー」

 ニヤニヤ顔のグレンジャーさん改めハーマイオニーに声を掛けると、酷く驚いたような顔をされる。名前を呼ぶ練習をしたのだと胸を張って言うと、今度は呆れた顔をされた。

「ハーマイオニー、ハロウィンの日を楽しみにしていてね」

 何が?と首を傾げるハーマイオニーにそれ以上は何も言わずニコニコしていると、ハーマイオニーも表情を柔らかくした。嬉しくなった私は、さらに笑みを深める。

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