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 ヘンリーのことは極秘扱いされたが、フレッドに隠し事などできるはずなどなく、彼にだけは全てを話した。

「ヘンリーが死喰い人に? ……まさか」
「間違いない。この耳で、目でしっかり確認したんだ」
「だとしてもなにか理由があるんだろ。誰かに脅されたとか……」
「そんな雰囲気じゃなかった! フレッドは現場を見てないからそんなことが言えるんだ!」

 理不尽に怒鳴りつける僕にフレッドは熱心に語りかける。ヘンリーは闇に落ちる女じゃない、それはジョージが一番よくわかっているだろ?
 ……フレッドの綺麗事に反吐が出た。フレッドに対してではなく、自分に嫌気が差したのだ。ヘンリーがおかしいことに気づいていたのに信じることができないなんて。
 彼女を信じなければとは思うが、信じようとすればするほど疑ってしまう。今まで傍にいてくれたヘンリーそのものが嘘だったのではないかと考えてしまう自分が嫌だ。

 ――どうしてあのとき、無理矢理にでも彼女を止めなかったのだろう。そうすればなにかが変わっていたかもしれないのに。

120928
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