*117 石に変わったハーマイオニーを見た瞬間、体から血の気が引いた。心配した校医に肩を叩かれようやく瞬きをする。そっと彼女の手を握り締めても、温もりが伝わってくることはない。 「……ハーマイオニー……」 朝までは確かに元気にしていたはずなのに微動だしないハーマイオニーを見ていたら涙が溢れてきた。医務室まで連れてきてくださったマクゴナガル先生がハンカチを私の頬に当てる。優しく肩を抱くマクゴナガル先生に促され医務室を出ると、フレッドが待ちかまえるかのように立っていた。……何故、フレッドがここに? 「ミスターウィーズリーは私が呼びました。あなたは彼と仲が良いようなので」 寮まで引率するというマクゴナガル先生の後ろを歩いているときフレッドがコッソリ「先生、ジョージと俺を間違えたみたいなんだ」と囁く。問答無用で連れてこられたから何事かと思った、と頭を掻いているフレッドを見ながらマクゴナガル先生でも間違えることがあるのかと少し驚いた。 「時間をとりましょうか?」 レイブンクロー寮の前に着くとマクゴナガル先生が気を遣って二人だけの時間を作ることを提案してくれた。私が首を横に振るより早くフレッドが「五分だけお願いします」と頭を下げたので、彼に倣うようにお辞儀をした。 「我慢するなよ」 特に話すこともなくフレッドを見上げていると両腕で包み込むように抱き締められた。我慢とはなんだと困惑していると、目尻から幾筋もの涙が零れる。ぼたりぼたりと落ちていく大粒の涙がフレッドの服を汚していく。 何も言わずに背中をさすってくれる手が心地よく、安心して彼に身をゆだねた。 120914 目次/しおりを挟む [top] |