*116 先輩のアドバイスに耳を傾け、羊皮紙に視線を落とす。三年からは選択授業があるためなんの科目を受けるか決めなければならないのだ。将来なりたい職業から選択すればいいと言われても……将来やりたいことなんて決まってないわ。深い溜息をついて羽ペンを弄っているとアダムスさんが私の羊皮紙を覗き込む。 「何をとるつもりなの?」 「まだ決めてないわ。アダムスさんは?」 アダムスさんの羊皮紙を見せてもらうと、すでに印がついていた。数占い、古代ルーン文字、マグル学の三つを受けるようだ。 「消去法で選んでみたら?」 うーん、占い系は受けても身にならないと思うのよね。新しい考え方が身につくという見方もあるけど、正直占いはお腹一杯だった。 そうすると、古代ルーン文字、マグル学、魔法生物飼育学に絞れて……三つ全て受けるという手もあるけど、新しい語学を学ぶ余裕なんてないから古代ルーン文字は受けたくない。 「マグル学と魔法生物飼育学にしたのね」 「ええ。マグル学は一緒ね」 いびつに書かれたチェックマークを指でなぞる。どちらも楽しそうな学問だと思えたし、この選択は成功だったといえるだろう。 120913 目次/しおりを挟む [top] |