*114 ジョージさんがお母さんに捕まりあれやこれや質問攻めになっているのを眺めながらお菓子を作っていた。暇だからと手伝いを申し出たフレッドに指示を飛ばし薬草を煎じていくが、どうも上手くいかない。薬草の粉末を一摘みボールに入れるとのろしのような煙が一筋上がった。 「失敗か?」 「うーん……もう少し入れたら良くなるかも」 さらにもう二摘み粉末をふりかけると、尋常じゃない量の煙が吹き出した。慌てて布を被せたのだが異変を察知したお母さんに怒られる。 結局お菓子作りは失敗してしまいお母さんは杖で残骸を消し去る。なにが失敗の原因か調べたかったから消さないで欲しかったのに……。 「この子料理が下手なのよ。できもしないアレンジをしようとするから」 「将来は僕がヘンリーに料理を作るので安心してください」 「まあ。ジョージさんなら安心ね」 暗に結婚をほのめかすジョージさんにお母さんは朗らかに笑う。まだ二度しか会っていないのになぜそこまでジョージさんに信頼を置いているのか不気味に思った。 お母さんとジョージさんが話し込むのを確認してから、先ほどから笑っているフレッドを見る。彼はジョージさんの張り切りぶりに笑っていると思ったのだが、こっそり聞いた話によるとジョージさんは料理などからきしらしい。堂々と嘘を吐くジョージさんに呆れつつ、そんな彼も愛しく思える私は重症だ。 120820 目次/しおりを挟む [top] |