*105 今年もやってきたクィディッチシーズン。レイブンクローチームのシーカーである私は毎日のように練習に励み、勉強に手をつける時間はほとんどなかった。それでも成績を落としていないのは、ついに無言呪文を会得したからだ。前より呪文を会得するのに時間がかかるようになったが、その代わり一度覚えた呪文は完璧に使いこなした。呪文を覚えるより体で覚えた方が身につくようだ。 「ジョージさん、ジニーちゃんの様子はどう?」 「相変わらずだよ。それより今はクィディッチが忙しくて」 「そう……私も何度か話しかけてみたのだけど、やっぱり様子がおかしいみたい」 この間ジニーちゃんが話そうとしていた続きもまだ聞きだせていない。また今度話をしてみよう、と一人自分の言葉に頷いているとジョージさんに腕を引かれる。顔を上げると彼は眉間に皺を寄せていて、どうしたのだと声を掛けるとキスをしてこようとしたので全力で避けた。 「……ジョージさん、本当にどうしたの?」 「ヘンリーがジニーのことばかり考えてるから嫉妬したのさ」 「……へえ」 フレッドと私の視線から逃げるように背を向けるジョージさんの肩をつついても無反応で、後ろから覆い被さるように抱きつくと彼はそのまま前のめりに倒れた。女の子一人も支えられないなんて、と床に伏せているジョージさんを見下ろしていたのだが、ピクリとも反応しないジョージさんを見ていたら不安になってくる。……生きてるかしら? 120729 目次/しおりを挟む [top] |