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 久しぶりに話をしたジニーちゃんの表情が冴えないので心配になった。体調でも崩したのではないだろうかと声を掛けると、ジニーちゃんは小刻みに震える手で私のローブを掴んだ。

「ヘンリー……私、おかしいの。怖いわ……」

 青ざめた顔をしたジニーちゃんの手を、両手で包み込むように握り締める。何があったの、問い掛けると、彼女はハッとしたような顔をして走り去ってしまう。引き止めようと手を伸ばしたのだが、ジニーちゃんの必死そうな顔を思い出し手を下ろした。

「……貴方たちのせいで逃げてしまったじゃない」

 背後にいるだろう双子に声を掛けると「よく気付いたね」と肩に手を置かれる。ジョージさんがジニーが心配なんだよ、といつもより眉を下げるので彼のローブを握り締め、今度ジニーちゃんと話してみると約束する。少しだけフレッドとジョージさんの表情が和らいだ。

 フレッドと別れて、ジョージさんと手を繋ぎながら歩く。こんな風に二人きりになることは珍しいので落ち着かないが、それ以上にジニーちゃんのことで頭を埋め尽くされていた。
 具合が悪いのだけだと思っていたが、あの様子だと何か深刻な悩みがあるのだろう。フレッドやジョージさんには話さなかったのは、女の私にでないと話しにくいことなのだろうか?

120726
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