*100 右手を掴まれたかと思うと、強く引っ張られる。突然のことに驚いて躓きそうになったが、なんとか足を踏ん張る。 「……ハーマイオニー? どうしたの?」 「どうしたの、ですって? ヘンリーが意味のわからない理由で避けるからでしょ」 双子のせいでなんとなくハーマイオニーに会いにくくなり、今交わした会話も久しぶりのものだった。でもそれは、フレッドとジョージさんが……と口ごもる私に彼女は耳を貸さない。手を引っ込めようとしても、案外力の強いハーマイオニーの手は振り払えなかった。 「怒るわけじゃないから、ついてきて」 有無を言わせないハーマイオニーに逆らうことができず、おとなしくついていく。いったいどこに連れて行かれるのだと不安になるも、着いた場所はグリフィンドール寮だった。ちょっと待っていて、というハーマイオニーに頷いて壁に寄りかかる。絵画の中に消えたハーマイオニーはなかなか戻っては来ず、時間だけが流れていく。寮に戻って来たグリフィンドール生に不審そうに見られ、居心地が悪い。 ハーマイオニーは私のことを忘れてしまったのでは、と心配し始めたとき、絵画が開いた。ポッターくんやウィーズリーくんと一緒に居るのを何度か見たことのある男の子が顔を出す。向こうも私のことを知っているらしく、声を掛けられる。 「レイブンクローのシーカーが、こんなところでなにをしてるんだ?」 「ハーマイオニーを待っているの」 「ふーん。……ねえ君さ、」 彼が一歩、私に近付く。怪しげに口元を歪める男の子に怯むと、腕を掴まれた。 120704 目次/しおりを挟む [top] |