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 繋がっている手に視線を落とす。人差し指、中指、薬指……順に絡んでいく指に、顔が熱くなる。手に、汗が滲んできた。
 しっかりと握られている手を振り払おうとすると、さらに強く握り締められる。手を繋ぐのが嫌なわけではないが、手汗が気になった。

「ジョージさん、」
「ダーメ。たまには、いいだろ」
「そうじゃなくて、あれ」

 フレッドを、指差す。ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべているかと思いきや、頬を赤くして顔を逸らしてる。

「……ジョージが女の子と付き合ってるって、変な感じ」
「今までだって、恋人くらい居たでしょ?」

 ジョージさんに顔を向けると、首を振って否定する。気を遣っているのかとも思ったが、まだ恋人が居なくてもおかしくない年齢だろう。彼らは大人びているから、たまに年齢を忘れてしまう。

「お前らって、キスしたか?」
「いつもフレッドと居るのに、いつしろと」

 双子の会話が耳に入り、先日の夢を思い出す。ジョージさんと、キスしかけた夢だ。……せっかく忘れていたのに。
 顔に上ってくる血を追い払うように首を振る。今からキスをするわけじゃないんだ、落ち着け。
 浅く呼吸を繰り返し、ジョージさんの手を握り返すと彼は嬉しそうに笑う。その笑みが直視できずに下を向くと、フレッドの手が乱暴に私の髪をかき混ぜた。

「どうかしたか?」
「……なにも」

 素っ気なく答えたにも関わらず、フレッドは緩く笑みを浮かべる。なにもかもを包んでしまうような笑顔だ。たまにするこの表情を見ると、何故か安心してしまう。

120703
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