※時間軸はレッドもグリーンも夢主も17歳設定です!





「んで、名無しはオレとレッド、どっちが好きなわけ?」

「…」

『え、えーっと…』




・・・・・。



私は今、人生で一番ともいえるような危機的状況を迎えています。


私とレッドとグリーンは同じマサラで育ったいわば幼馴染ってやつです
お互いに夢目標を持ち、別々に旅をしてから7年…。

グリーンはジムリーダーになっていてレッドは生ける伝説になっちゃって今はシロガネ山へ籠り強い挑戦者を待っている生活を送ってて。
二人とはたまに連絡とってたから知ってたんだけど。


私はというとカントーから始め、ジョウト、ホウエン、シンオウ、とジム戦巡りをして
ホウエンではチャンピオンに勝ってでもチャンピオンの座にはつかず…いや、詳しく言えば逃げ…あ。 ダ、ダイゴさんに頼み込んで留まらずにこうして旅を続けていたんだけど、数日前ポケギアでグリーンから連絡あって、


「レッドが下山するから会おうぜ!」


って言うもんだから時々は帰ってはいたけどレッドはずっとシロガネ山に籠りっぱなしでいつも私とグリーンが山まで行ってちょっと会ってはすぐ帰るみたいな感じだったから、下山してくるなんて何事か!?と思い、一番の古株である最初のポケモン、リザードンの背に乗ってこうしてシンオウからふっ飛ばして帰ってきたんだけど…


帰ってきて最初まではよかったの!

レッドも最初は私と同じヒトカゲを選んで今ではリザードン、久々に再会して
まず私のリザードン見て目を輝かせてた。

「どんな育て方してるの?」とか「バトルしたい…」

とか、・・・え。

そこはまず「久しぶり」じゃないのレッドさん…。
ま、人間よりポケモン愛の方が強い人だからしょうがないっか、

グリーンとは至って久しぶりな再会の会話が出来たわけで、季節は冬。
立ち話もなんだからってグリーンの家へ向かう事にしました。

私の家にも途中寄ったんだけど…誰も居ないっていうね。

まぁ、両親旅行好きだからきっとどこか行ってるんだろう、タイミングが悪いのはいつものことだ。



さて、話を戻します。


それからグリーンの家で夕食ごちそうになって、それぞれの話やレッドやグリーンにとっては珍しいホウエンやシンオウでゲットしたポケモンみせたり。
大半はポケモンの話ではあったけど、最後に会ってから2年という時間はこの数時間であっという間に埋まってしまったわけだ、流石幼馴染。

そして事件が始まった…。


グリーンが「今日は泊まってけよ」

って言うから三人で一つの部屋で雑魚寝。みたいになったわけだ

昔もよく三人で寝たりしてたから今更抵抗なんてなかったよ…でも、でもさ。


「お前、あの時の事覚えてる?」


そう・・・この一言が引き金になった・・・。





『約束?なんだっけ』

「はぁ?まさか忘れたなんて事、ねぇよな?」


え、なんかすごい笑顔で怒ってるんですけど…。

約束って…なんだっけ。正直忘れてる…でもこの雰囲気じゃ、言えない…!!


「レッド、お前は覚えてるよな?」

「…覚えてる」

『え、三人で約束した事?』


「そうだよ!」って言うグリーンに必死で過去にさかのぼり記憶を探ってみる…
えーっと…な、なんだっけ…?


『…何年前?』

恐る恐る聞いてみる。


「…10年前」


私の目を見て言うレッドに『10年前か…』と、ボソっといいながらも
再び記憶を探る…  あれ、思い出しそう。

たしか…あの時は7歳くらいで…
その頃で一番記憶が濃いのは………―――――!!


『おもい…だした…』

ぶわっと記憶が頭に流れてくる…とみるみるうちに顔に熱を帯びていくのがわかる。

あ…あれって…だって子供の時の事…だよ!?


『ま、まさかレッドが下山してきたのって…』

今は電気が消えていて小さいスタンドライトの小さな光だけが部屋を照らしてる。
おかげで顔や人の認識はできるけど顔色まではわからないだろう、それでも火照った頬を
両手で押さえながらレッドに問うてみた…。


「…10年後にって約束したから」

「そーゆーこった」

「このまま思い出さなかったら襲ってたぞ」なんて軽くグリーンが言いつつレッドも頷くもんだから尚更顔が真っ赤になる。

まったく、お前ら二人ともイケメン面して平気で言うけどね…
どこぞの女の子がそんな事言われたらこうかばつぐんだぞこの野郎。


・・・といっても私もその一人かもしれない。
自分の成長なんてどこが変わったかなんてよくわからない、会うたびに
グリーンは「美人になったなー」とか言ってはくれるけど…
この二人だって成長は当然してるわけで。
昔は私のほうがちょっぴり身長だって大きかったのに今ではもう目線も彼らの方が上。
肩も広いしがっしりしてて、幼さなんてどこにもない。
昔にくらべたらもうすっかり大人の男性だ

イケメンジムリーダーとかいわれててモッテモテのグリーンだし?
生ける伝説になってるレッドだって山に籠る前は相当モテてたみたいだし?

やっぱ幼馴染の私からしても二人はカッコイイ…。


そうそう、約束ってのはね。
10年前、レッドとグリーンに「好き!」って言われたの。
その時は「私も二人の事好き!」ってlikeの方で言ったんだけど…
え、likeじゃないの??

・・・どうやらお二人はloveの方だったみたい…。

それで、「10年後、もう一度聞くからそしたら聞かせろよな!」
って幼いグリーンとレッドと約束してたわけで、


それがちょうど今10年経った―――

レッドが下山してきたのはこれか…と解決。



「おい、なにぼーっとしてんの」

グイッ

『えぇっ!?』


右手首をグリーンに掴まれました、顔が近い…


「……」

グイッ


『へっ!?』


今度はレッドが左手首を掴んできた、そして顔が近い…!!


いきなりの事でもう頭の中オーバーヒートしそうで近すぎる顔を遠ざけようと後ろに頭を持っていくも…


ゴンッ…


真後ろは壁でした…そういえば壁にもたれてたんだっけ…


『あいたっ…ちょ、ちょっと…』


あぁぁぁもうヤバいです…これは…


「聞かせてよ」


『っ…』


普段あまりしゃべらないレッドが真近で…しかも薄暗いせいもあってか色っぽい…
心臓がバクバクと鼓動を早めていく…


「オレ、お前以外の女なんてありえないから」

ダブルパンチですね、グリーン。その台詞は…ヤバイです…。



『あの…っ』


上手く言葉がでてこない…

でも私…あの約束以来ずっと昔から…


「…」

「ん?」


私は…―――。


『あのね…私…二人が好きなの…!!』


「「!!」」



あぁ…言ってしまった…

嫌われただろうな…引かれた絶対。

でも私にとってグリーンもレッドも大切でかけがえのない存在だった。

彼らがいたからこそ私、前へ進めた

私は、ただ強くなる事だけしか考えてなくって、経験値を必死で伸ばして
誰よりも一番強くいたかった。
ポケモンの事は大好き、今の手持ちの子達も、預かってもらってる子達も皆私の宝物。

でもある時レッドに言われたの、


「ポケモンが可哀そう」だって。

強さだけが全てじゃないって、ポケモンは欲を満たす道具じゃないんだって教えてくれた。

その言葉は私にとってとてつもない衝撃だったよ、でもおかげでポケモンに対する見方も接し方も変われた。
以前よりももっと強くなれた、ポケモンと心を通わせられた時のバトルは今までの非じゃなかったのを覚えてる。

それに、グリーンはいつも私の事支えてくれた。
時々連絡をくれては体調の事とかいつも心配してくれて
旅につまずいて先になかなか進めなかった時だってどんなに夜遅くなろうが
私の気が住むまで電話を繋いでくれて話を聞いてくれた。
彼のアドバイスは殆どが私にとっては足りないもので考えもつかない事ばかり、
彼の存在があったからこそ、私はこうやってまだ前を向いて旅ができてる。

二人は私にとって特別な存在……

いつしかどっちも、本気で好きになってた―――。


こんなんじゃいけないって思ってた…。

だけど。


『どっちかを選ぶなんて…私にはできないっ…!!どっちも大切で…大好きだもん…』


言い終えると同時に涙がポロポロと溢れてきた…。

気持ちをぶつけた事による罪悪感でいっぱいだった


そんな名無しをただ黙って見ている二人…



「レッド…」

「……(頷く)」


二人は顔を見合わせて互いに頷く、すると暫しの沈黙のあと…


「それがお前の答えなんだな?」


真剣な表情で問うグリーンの顔を見れないまま頷く名無し。


「名無し?」

優しい声色で名前をよぶと頬に伝っていた涙を指で拭うレッド。


「こっち、向いて」


そう言われ、ゆっくりと二人の顔を見る……


優しく…微笑んでいた…。が、思考のまとまらない間に見た風景が天井へと変わった。


『え…?』



はははっ!!っと笑いだすグリーン。

「やっぱオレが心に決めた女だぜ」

「…俺の決めた女だ」


『……』


あれ…?想像してた展開と大分違うような…



「ま、今はそれでいいけど…」


名無しの上に覆いかぶされば、ニヤリと笑う二人…



「いずれ俺しか見えないようにしてあげる…」

「はっ!言うじゃねぇかレッド、負けねぇぜ…」

『えっ…えぇ!?』


「んじゃ、しばらくは俺達どっちも相手にしてもらうぜ?」

「覚悟…してよね」



あ…これはもう…終わった、色々。

あまりにも強い眼差しに『は、はいぃぃ』としか言葉がでず。



この後…朝になるまでお二人に愛されました………あぁ…。





〜後日〜



「もう行くのか?」

『うん、まだシンオウのジム戦制覇してないし旅も途中だしね』

「…俺も帰る」


鈍痛が響く腰をさすりながらもボールにしまっていたリザードンを出すが
勝手にもう一匹の子も出てきた…

『ちょっ…どうしたの?バシャーモ』

ホウエンで出会ったアチャモから育てて進化したバシャーモ♂が飛び出してきては
グリーンとレッドに睨み付けた…。


「うっ…なんだよ…」

「…任せろ」

「はぁ!?レッド!!意志疎通できんのかよ!?」

無言で睨むバシャーモに任せろなんて言うもんだから驚くグリーン。
レッドのポケモン愛は凄い…尊敬するよ


彼…バシャーモはなにかと私に男が近付くと出てきて威嚇するんです…。
ダイゴさんの時はお得意のブレイズキックかましてたっけ…守ってくれてる?のかな。


「悪い虫がつかないように、これからも頼んだ」

レッドがそう言うとグルル!と喉を鳴らし頷くバシャーモ。


え、これからも?ってえ??


「レッド…お前もう人間卒業したら?」

呆れ気味に言うグリーン


『大丈夫よバシャーモ、彼らはそんじょそこらの男とは比べ物にならないから!』

「お、言ってくれるねぇ」

私がそう言えばすりすりと頬をすりつけてきたバシャーモを撫でてあげると、おとなしくボールに戻っていく。


『旅に区切りがついたら、また来るよ』

「毎日連絡はすっからな」

「…(頷く)」


『うん、待ってる!それじゃ!』


「気を付けてな!」

「今度来た時、バトルしよう」

『ありがとグリーン、うん!その時は今よりもっと強くなって勝っちゃうからねレッド!』


「…!望むところ」


暫しのお別れのあいさつを済ませると、
ずっとスタンバってくれてたリザードンに跨る。

大きな翼を広げてあっと言う間に地面との距離がひらいた――。




『リザードン、なんだかね…今、とっても幸せな気持ちでいっぱいなんだ…っ』


まだ少し高鳴る胸をそっと抑え呟くとグワウと優しい声で応えてくれた


『グリーンも勿論、レッドもトレーナーとしてはライバルだからね!絶対勝とうね!!頑張ろ!!』


そう言えば、大きく吠えスピードを上げるリザードン。

腰に巻いてあるベルトにつけられたモンスターボールもカタカタと応えるように震えた。





十年前の約束


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