『グリーン!遊びにきたよ〜』

「あのなぁ…遊びに来る場所間違えてるだろ!」

ここはトキワジムで今仕事中!!

そうつけ加えるも名無しはにへらぁと笑っている。

その笑顔にグリーンは弱い、
しかたないとため息をつきジムの奥の部屋へと招いた。

「ちょっとー僕も忘れないでくださいっす!」

「…ヒビキか」

「はぁ!?なんすかそれ!!なんなんすかその扱いー!!」

僕が名無しさんを乗せてきてあげたのにー

なんて言いながら頬を膨らます

「僕が、じゃなくてお前のポケモンが!だろーが」

『まぁまぁ2人とも、ケーキ作ってきたの。皆で食べよう?』

手作りケーキ。

この言葉にヒビキもグリーンもゴクリと生唾を飲んだ。


決して不味いとかではない、
むしろ美味すぎるのだ


そりゃもうその辺で売ってるケーキが食べれなくなる程に…


「悪かったヒビキ、食べようぜ」
「あ、はい!食べましょ食べましょ」


手っ取り早く仲直りをすませるとジムリーダーの部屋へと入り名無しは慣れた手つきで紅茶の支度と箱に入ってたモモンの実で作った淡いピンク色のホイップで飾られたショートケーキを出し、切り分けお皿に乗せた。

余ったケーキもテーブルの中央に
おかわり自由ですよ、という意味で置き、さぁいただきます!!


「「…………」」

『どうかな??』

名無しはまだケーキを食べずに2人の反応を待つ。

言わずもがな……

「うまぁぁぁああいっすぅぅぅ!!」

「ほんと、この味に慣れたせいて他のケーキ食えねぇんだよ、いやまじで」

美味すぎる……

ヒビキは目をキラキラと輝かせて頬に手を当てながら笑顔。

グリーンもジムの仕事で肩に力が入ってたのか、食べた瞬間一気に脱力し、疲れもぶっ飛んでしまった。

「名無しさんって料理めっちゃ上手いっすよね〜いいなぁ…俺名無しさんお嫁に欲しいっす」

『えぇっ!?///』

軽いノリで言ってるように見えて結構マジなヒビキの言葉に思わず赤面してしまう名無し。

「………」

一方黙ってるグリーンだが頭の中では……

はぁ!?
何言ってんだよヒビキの野郎、
名無しは…名無しは俺の嫁にするんだよっ!!
てめぇなんかにゃ渡さねぇ…!!

なんて言っている、が。

グリーンと名無しは恋人ではない。
幼なじみだ

グリーンとレッドと名無し。同じマサラ出身で同い年で、同じ日に旅に出た。

何年か経ってまず俺が最初に帰ってきた。んで、次に名無し

レッドは…相変わらず旅をしているが…というより山籠りしてるが、名無しの手料理が食べたい理由で最近は結構頻繁に山から下りてくる。

俺の感だと多分レッドも…名無しが好きだ。

んで、名無しの隣に移動してピッタリくっついて口説いてる変態野郎のヒビキもだ。


敵が多い……、


だがそろそろ本気ださないと、マジでレッドに…いやヒビキに奪われてしまいそうな気がする


そう思いながら三つ目のケーキを頬張る。

あ、いや…真剣なんだけど…ケーキが美味すぎて手が勝手に動いてしまうんです…。



♪〜♪〜♪

「げ、コトネ…」


名無しを口説いてる真っ最中にヒビキのポケギアが鳴り、画面を見るとコトネの文字が。

途端に顔を引きつらせ通話を開始。
30秒くらいだろうか、少ない時間で彼の顔はみるみる歪み、通話を終了するとがっくりと肩を下げた。

「どうした?呼び出しか?」

「あー…はい、出先で買った荷物が重いから運ぶの手伝えって」

声も先ほどよりかなり低い。

名無しと一緒に居られる時間を強制終了させられたのだ

かなり落ち込むわ。

だけどコトネには逆らえない、奴は鬼だ

残りのケーキを全て平らげ、仕方なく立ち上がった。

「じゃ、用できちゃったんでお先に!」

名無しに対して笑顔を作るが眉が下がったまま

そんなヒビキを見てちょっぴり可哀想になってきた名無しは、鞄をごそごそ探り可愛いくラッピングされた袋包みを2つ取り出して彼に渡した。

『これ、マカロンなんだけどよかったら食べて?もう一個はコトネちゃんに』

がんばれヒビキくん!

っと女神のような微笑みに心臓がドクンッと大きく跳ね、みるみる顔が赤く染まっていく

「名無しさぁん…ありがとうございます…!!」

涙目になりながら大事にマカロンを鞄にしまうと今度はいつも通りの満点スマイルでトキワジムを後にした。


「あいつも大変だなー」

ケーキを食べ終え、ストレートの紅茶を口につけるグリーン。


『コトネちゃん気が強いからね…』

苦笑いで言う…

…………はっ!?


まてまて、今俺と名無しだけか…!?


これは…滅多にないチャンス!!


今言わねば次はない!!きっと!!



急に緊張感に襲われ、震えるティーカップを急いでテーブルへ戻す。


突然様子がおかしくなったグリーンを見ては『どうしたの…?』

と不安を見せながら問いかけてくる名無し。


「あ、あのさ…名無し?」


『ん??』


向かい側に座る距離がもどかしい。

どうする…

くそっ!なるようになれっ!!


バンッ!!

『ひゃあっ!!』


テーブルの上に乗り、向かいの名無しの座るソファへ行けば肩を掴み覆う。

大きな音とグリーンの予期せぬ行動に変な声が出てしまい、咄嗟に口元に手を当て、自分の上にいる彼を見て頬を赤く染めた


『グ、グリーン??どうしたの…?』

「っ…………好きなんだ」


『へっ!?』


やっべ…可愛すぎる…


「だから、お前の事好き、なの!!」


『っ…!!』


人生で一番といっていいくらい心臓がバクバクしてる


グリーンの言葉に大きく開かれた瞳からじわり、と涙が集まってくる。


「あっ…急だったよな、やっぱ…ごめん」


『ち、違うの…!その、う…嬉しくて…』


泣き出すものだから急すぎててっきり嫌な思いさせちゃったのかと心配になり
謝るが、次の名無し言葉に思考が一瞬停止してしまった。


「…え…あっ…それって…」

『…私も…す、好きだった…から』


まさかの両想い!?

こんな展開になるなんて思ってもみなくって、でも…

…嬉しい…。


「俺と、付き合ってくれるか?」

『…はい!』


やっと、やっと叶った恋。


今この瞬間がとても幸せで、名無しの返事が終ると同時に
甘く優しいキスを交わした…。



〜後日〜



「名無し、グリーンと付き合ったの?」

『う、うん…そうだけど…』

「…グリーンが嫌になったらすぐにでも俺の所きてよ」

「あー!!抜け駆けなんてずるいっすよレッドさん!!
名無しさん、俺も待ってますからね!!」


「お前らな…いい加減にしろよ…」

笑顔で青筋立ててるグリーンに対してジト目で見返すレッドとヒビキ。

付き合った事をレッドに報告するともの凄い速さで下山してきては
名無しを抱きしめるし、どこから情報がはいったのかヒビキもレッドが来た数分後に
ドアをバンッ!!っと押し開け入ってくればレッドを剥がし、名無しの手を両手で握りしめていた。


「だってまだ、恋人でしょ」

いつでも奪えるもん

なんてさらりと恐ろしい事を言ってしまうレッドに

「ふざけんなっ、誰にも渡さねぇよ」


「ま、レッドさんも僕もまだ諦めてないってことで、覚悟。しててくださいね?」


「…上等だ」

ニヤリと笑うヒビキに頷くレッド。


『…あ、あの…そろそろお二人さん、離れて…近い…///』



「「「……」」」



“…カワイイ…”



『さて、レッドも下山してきたし、ヒビキ君も居るし…今日は皆ごはん食べてって?』


「もちろん」

「はーい!!ごちそうになりまーす!!」


「…はぁ」


まだまだ油断できないなと思うグリーンだった。




想うだけじゃもう足りない
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