「それ可愛いな」
焦ったように携帯を閉じた私とは裏腹に爽やかな笑顔でそう言う男子。
当然の事ながら戸惑う訳で…
だって携帯の待ち受け画面は某軽音部が繰り広げるアニメのキャラ達だったのだ
から。
「あ、俺藤堂平助。よろしくな」
「一戸柚花です。」
「おう!」
じゃ、また後でと告げて藤堂さんは自分の席の方へ歩き出した。
そして気付けばガールズトークを繰り広げていた女子達もいなくなっていて私も
自分の席へと向かう。
そうこうしている内に担任になった原田先生が入ってきた。
「お前らー席着けー」
入ってきた瞬間の女子達の黄色い声。
やっぱりすごい人気なんだな、原田先生。
「出席とるぞ」
そう言って先生は出席を取り始める。
安藤さんから始まり柳沢君で終わるうちのクラス。
ぼーっとしてればいつの間にか柳沢君を点呼する先生の声が聞こえた。
「え、あれ?」
思わず席を立ち上がる。
「ん?どうした?」
「あの、私の名前が…」
「あ?間違ってたか?」
「いえ、呼ばれなくて」
おかしいなーと呟き出席簿を見る原田先生。