偽りの関係

※大正パロ

「沖田様、おめでとうございます」

「今日は喜ばしい日ですわね」



ある大豪邸で開かれた沖田財閥当主の長男の誕生日会。
沖田総司の周りには沢山の人が媚びを売りに群がっていた。



「はぁ、つまらん」



会場の一角でワイングラスを持ち突っ立っている1人の男がいた。



「何故俺がこんなところに来な「斎藤様じゃないですか!」」

「……お久しぶりです」



斎藤と呼ばれた男に話し掛けたのは1人の男性。



「斎藤様!?」

「あの斎藤財閥の後継者か!?」



その男性の声に周りの客も反応しはじめ総司と同じくらいに人が彼を囲んでいた。



「珍しいですね…一様がこのような場所に来られるなんて」

「総司に…沖田さんに招待されまして」

「相も変わらず仲睦まじいですね」

「まぁ」



一は適当にあしらうように話を一つ一つ片付けていく。



「それでご結婚の予定などは…」

「もし無いようならば是非私の娘を…」

「いえいえ、是非私の娘を」



一はやはりなという顔をした。
そして常套文句を発そうとした。
その時人混みを掻き分け一に1人の人物が近寄ってくる。



「あ、あの…いつぞやは母を助けて下さりありがとうございますっ!」



先ほどの雰囲気を消すように発された言葉に耳を疑った。



「は?」

「あの、道で困っていた母を助けていただいたみたいで…」

「あぁ、あの時の」



少し前一は1人の女性を助けていた。
きっとその時の女性の娘なのだろうと瞬時に理解する。



「おかげで母も調子が良くなったみたいで…本当にありがとうございました」



ふわりと花のように笑う少女に何を思ったのか一は腕を掴んだ。
そして自分の胸元に引き寄せる。



「!」

「俺には既に心に決めた女性がいます」



その言葉に会場はざわつき少女は絶句していた。



「え、ちょっ…」

「ですから、今後結婚等の話題は避けていただきたい」

「そ、それは仕方ありませんね…」



そう言って群がっていた人たちは一気に散っていった。



「所詮は地位や名誉欲しさか…」



散っていった者たちをみて一は淡々と口にする。



「あ、あの…」

「……すまなかったな」



一は未だに胸に抱かれている少女を離した。



「えっと…」

「申し訳ないがこれから少しばかりお前には俺の婚約者として立ち回ってもらう事になる。迷惑をかけるかもしれんが、俺が責任持って対処させてもらう故安心してくれ」

「は、はい…」

「………ところで…一つ気になっていたのだが」

「………はい?」

「お前は誰だ」

「………」



少女は果たしてこの人に任せても大丈夫なのだろうかと少し後悔した。




偽りの関係




―――
斎藤さん天然(・ω・´)
続くかもしれない…
20110219


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