愛したあまりに
分かっていた。
長州の間者を好きになってしまった時点で。
でも気付いた時にはもう手遅れ。
「総司、あいつは長州の間者だ」
「だから何だって言うんですか」
「あいつから手を引け」
「僕は何があっても彼女を守るって決めたんです」
「いいから手を引け!じゃねぇとお前は……」
土方さんの言いたい事は嫌と言う程分かる。
敵を庇えば法度違反。
法度違反は切腹。
それでも僕は……
* * *
「副長」
「どうした斎藤」
「………総司が脱走しました」
千鶴さえいればもう何があっても平気。
「総司さん?」
「君は僕が守るから」
僕は引いていた千鶴の手をぎゅっと握り微笑んだ。
「だから……」
腰に下がっている刀を鞘から抜けば凍りつく千鶴の顔。
その顔を見ながら刀を千鶴の胸に突き刺す。
「これで君は永遠に僕のものだ」
まだ温もりのある彼女の体を抱き締め顔に笑みを浮かべる。
頬に一筋の涙を流しながら…
* * *
「まだ若いのに」
「まぁ本望だったんじゃないか」
三条大橋には沢山の人が群がっていた。
今朝そこで胸を一突きされた女と自らの腹を切ったと思われる男の死体が上がっ
た。
男の顔は幸せそうに微笑んでいた。
愛したあまりに
―――
沖田さんの狂愛。
曾根崎心中が急に出てきたのでそれを
ネタに^^;
20110302[ 8/18 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]