あれからすぐに土方は試衛館にて寝泊まりするようになっていた。
「宗次!また俺の薬箱から薬盗みやがったな!」
寝泊まりを始めたと同時に宗次郎は土方に突っかかるようになっていた。
「いいじゃないですか。僕、丁度調子悪かったんですから」
「なんと!調子が悪いのか、宗次」
「え…?」
土方にしてやったりという顔で見ていたがその発言に勇は激しく反応した。
「それはいかん!早く布団を敷いて寝ていなさい」
「え…近藤さん、違…」
弁解する前に背中を押されそれ以上何も言えなかった。
こんな風景は最近の風物詩になっていた。
「ったく…」
嵐が去った部屋で土方は土方家秘伝の石田散薬を無造作に箱に投げ入れる。
「………?」
いつの間にか襖の所に千歳がいた。
「どうした?」
「……トシはその袋を売ってるの…?」
宗次郎とは違いあれから千歳は土方にちょくちょく話しかけるようになっていた。
土方をトシと呼び敬語もいつしかなくなっていた。