「歳!良い所に来た!」
道場に入ってきた土方に道場主である勇が近付いてくる。
「どうした、近藤さん」
「実はな……宗次、こっちに来なさい」
勇の言葉を聞き12、3歳位の男の子がトコトコ走ってくる。
「……?」
当然のように首を傾げる土方。
「最近預かった新しい門弟だ。名前は沖田宗次郎。宗次、こいつは歳と言ってな俺の友だ。」
嬉しそうに紹介をする勇を見ながら土方はしゃがんだ。
「土方歳三だ。よろしくな?」
「…………」
しかし待てども返事は帰ってこず終いには何も言わずに去っていってしまった。
「ちょっ待て、宗次郎!?」
「あー…いい、近藤さん。」
慌てて追いかけようとする勇を土方は制す。
「っハァ…すまんな歳…」
「近藤さんが気にする事じゃねぇだろ?」
あからさまに落ち込んでいる勇の様子に思わず苦笑する。
不意に足音が近付いてくる。
「あっ!!」
ドタッと地面に何かが叩きつけられるような音がしてそちらを向くとこれまた宗次郎と同じくらいの年の女の子が地面にひれ伏していた。
「い、いたたた…」
女の子はゆっくりと体を起こす。
「千歳!」
勇は慌ててその女の子に駆け寄った。
「す、すみません…近藤さん。お洗濯が終わって知らせに来ようと思ったらつい足が軽くなっちゃって…」
今にも泣き出しそうな目が不意にこちらを捉えた。
「あ…」
土方を見た瞬間急に顔を赤く染め勇の後ろに隠れてしまった。