願いはこの手で
キルヒアイスとラインハルトの間にある不穏な空気を知れず、一人自分の世界にふけているものがいる。
誰もいない通路でため息をつきながらしゃがみこんでいた。
マーティルダは浮かない顔をしていた。
ミッターマイヤーはちょうどそれを見つけ、話しかけに言った。彼にはマーティルダは娘のような感覚で接する点がある。
本人に言えば何を言われるかわからないが。

「どうした、いつもの明るさが消えているぞ」
「あ、ミッターマイヤーさま。はぁ」

マーティルダは長い紙を見つめながらため息をついた。何度目のため息だかは彼女でさえ知らない。

「地球にあった日本、中国という国では七月七日に短冊に願い事を書いて、笹に飾るんですって。書いて叶うなら誰でも書きますよ」
「で、どんな願いなんだ」
「好きな人が振り向きますように。まぁ、振り向きはするでしょうね、呼べば」

マーティルダは自分を軽く貶し、鼻で笑い、短冊を睨んだ。
ミッターマイヤーは好きな人とは誰のことか、考えてみた。
ロイエンタールか。この前揉めたばかりではないか。どちらも謝らず、事は自然消滅してはいるが。
ビッテンフェルト。関わりがあるのだろうか。一目惚れで話したことがない人に、告白をしようと考えるだろうか。
ミッターマイヤーは一番あり得る自分を思い浮かべた。
フェルナーではないだろうか。
同じオーベルシュタインの部下として、フェルナーとは関わりがあり、時間が長いだろう。一番可能性がある。

「男はやっぱり顔で選ぶんですかね。なら、頭で。あー、私、学がないから」
「しつこくない程度に気を使ってあげるとか。仕事で疲れているだろうからな。」
「うふ、いいこと思い付いた。」

マーティルダは笑いながらどこかへとんでいった。
ミッターマイヤーは自分は役に立てただろうかと、かんがえてみる。本来、答えはない。
しかし、ロイエンタールがその場にやって来て、あることを指摘したため、答えがでてしまった。

「ミッターマイヤー、まさかフェルナー辺りを思い浮かべたのか」
「盗み聞きは感心しないぞ、ロイエンタール。それにしてもよく分かったな。フェルナーなら可能性が高い。一番よくいる者に惚れる可能性が高いと、本で読んだことがある。」
「なら、ミッターマイヤー。卿は誰か忘れていないか。マーティルダの横にいて、フェルナー並みに時間が長い人物だ。」

ミッターマイヤーはそれはないだろと、顔で告げたが、ロイエンタールの顔は確信していた。

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