マルチェロの結婚前夜



「兄貴に先を越された!!」

「え?そもそも結婚する気だったの、ククール?
腐っても法皇だよね」

マルチェロの結婚前夜です。
やっぱり馬鹿なククールに、エイトはうんざりしていました。

トロデーンに隠居生活中のマルチェロの自宅にあがりこんだ二人は、我が物顔であっさり居座ります。
かれこれ三時間。
マルチェロは追い出そうにも、エイトがギガデインをかましそうな為警戒中。
トロデーンに隠居できたのはエイトとミーティア姫がいたのですから、逆らう訳にもいかず・・・・・・
逆らってもいいんですが、クロノスに土に埋められますから。

「貴様ら遠慮する気はないな?とくにククール。」

「ないけど?兄貴、ワインある?」

「ククール、白ワインビネガーあるよ」

一生懸命にビネガーを寄越すエイトを片手で防ぎながら、ククールはマルチェロに目を向けます。
ちなみにクロノスはゼシカに会いに行っているためいません。

「で、何回押し倒したわけ?」

「・・・・・・」

「え〜いいな!
僕なんかアローザ様がいるから怖くて。
マダンテされたらさすがに勝ち目がない。」

マルチェロはゼシカのマダンテの威力を思い出しました。
あの母と思うとさすがに恐ろしいものがあります。
マホカンタすればいいのでは?

「で、キスの回数は?
ぶっちゃけ可愛い?クロノスの涙目可愛い?
兄貴、教えろよ」

この瞬間、マルチェロは魔力なしになったことを後悔しました。
どうやって始末してやろうか。
それしか考えないようになりつつあるマルチェロでした。
エイトはとりあえず容赦なく言うことにしました。

「まさか可愛くないとか思ってる?」


「可愛くないわけがないだろう!!」


「・・・・・・」
「・・・・・・」

スイッチの入ったマルチェロの迫力に、
驚いたまま成すすべなしに停止している二人。
二人を見つめたマルチェロは自分の失態に気づきました。
冷静に包丁を握りしめます。
イヤミを言い飛ばすあの笑みで、二人を見下ろしながら言います。

「覚悟はよろしいかな」

「あ、兄貴〜?
煉獄島に入れられますけど」

「トロデーンで殺人はやめません?
明日結婚式ですし?」

「闇に葬り去るまでだ。」

「てゆうか恥ずかしかったんだな!?」

ククールに言われて冷静になったマルチェロは、包丁を放り投げました。
腕に刺したあのナイフのように、華麗に包丁が舞います。
二人が知るわけもありませんが。
とにかく、
クロノスが可愛くないわけがないという事と、
一線は越えたんだな、ということは知りました。

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