38.久々の笑い 1/3

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新帝国暦3年1月29日
ラインハルトとヒルダの結婚式に参加することになった。カサンドラは正直嫌だった。ビッテンフェルトに言ったら怒鳴られること間違いない。結婚に着るような晴れ着が一着もなかったのだ。軍人でさえあれば、軍服で済ませられた。困ったカサンドラは、マーティルダに頭を下げた。助けてほしい、と。

「わーい。堂々と着せ替えできるね」

この台詞にカサンドラは怯えた。
そして、カサンドラはマーティルダの自宅で着せ替え人形になっていた。大量の衣類を見たカサンドラは、それだけで頭が痛くなった。自分を着飾ることに興味がないカサンドラには、苦痛でしかない。可愛い衣類を着せられていた。ピンクのフリルや白のレースなど、似合わないと思ってしまうようなものばかり着せられた。

「似合うわけない」
「なーに言ってるのよ。こんなの着れるのはこれで最後かもよ、年的に」
「余計なお世話よ!!」
「はいはい、ほらもっと胸を寄せて!!」

前屈みにされて背中から肉を寄せられたカサンドラは、悲鳴を上げた。女性相手でも気軽にさわらせない場所にさわられたらそうなる。一生貧乳でいいと思っていたカサンドラ。貧乳こそ和服が似合うのだと。しかし胸を主張させられることになるとは、今までの人生で思っていなかった。

「胸なんかいいのよ!!触るな!!」
「さっきからうるさい。こんなときにテートクに見てもらうのよ」
「目的が結婚式じゃないじゃないか」
「男は胸なのよー!!」

ビッテンフェルトが胸を見てくれるか、また胸派かどうかわからないが、寄せて上げたいらしい。さんざん胸を押させ服を着せられ、選ばれたのはパンツで胸の必要性がないような格好だった。怒っているカサンドラを放っておいて、マーティルダは美容院の予約を始めた。当日はメイクが必須。カサンドラができるとは思っていない。おしゃれには全く信用されないカサンドラは、そこに怒りながらも従うことにした。
そして、カサンドラは美容院で嫌がることになった。顔や髪を知らない人に触られることが苦手であることが判明。マーティルダの金銭感覚で貸し切りの美容院で、エヴァとマーティルダとカサンドラでメイクするはずが、カサンドラだけ30分も渋った。
時間の関係で折れたカサンドラは、マーティルダの想像を越えて化けていた。

「もー渋ってばっかりで困ったわ。この子、メイクしなくても顔が若くていいわね。ちょーっとで化けちゃうのー」

店員の話し方にムカつきつつ、二人でカサンドラをガン見した。

「マスカラは?」
「元が長かったので、持ち上げてクリアマスカラでーす」
「むかつく」

むかつくのは店員かカサンドラのまつげか。
エヴァとマーティルダはカサンドラを引きずるように会場に連れていった。
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