34.再会 1/2

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ラインハルトの宣戦布告が、あまりにも退屈だと感じたカサンドラは、暇をいかに潰すか考えていた。
ビッテンフェルトは軍人であるがゆえに帰ってこない。広すぎる家に犬と二人では退屈である。友人が時折遊びに来るものの、所詮その程度の暇潰しでにすぎない。
ここを出ていこうか。カサンドラがそう考えたのは、フェザーンが実質占領されてからである。
帝国暦490年5月5日 ラインハルトとヤンのもとに同盟の降伏勧告を受け入れた旨が届いた。翌日二人が会見をしたことが、この作品では名シーンにあたるのだろう。
この間、治安は不安定になる。カサンドラは当然気がついていた。ケスラーがどれほど頑張ろうとも、フェザーンや同盟には手が回らないではないか。愛犬アルテマをマーティルダに託し、「面白いゲームでも探すわ」と冗談を言った彼女は、最小限の荷物片手に家を出ていった。

アッテンボローは戦争が終わるとVIP扱いか、と呟いた。帝国軍人に家を見張られ、女友達を連れてこれないと嘆いた。こそこそと悪い話をされないか心配してしまう。自分ではなく、女友達の方だ。わざわざ、外出して会うことになり、小さなカフェで待ち合わせていた。
別に深い仲ではない。ただ、彼女の愚痴をと自分の愚痴を聞いてほしいだけである。今後の面白い出来事に彼女を巻き込む気はない。頭がお堅いタイプで正直小さい小言みたいなものだ。

「ごめんなさい、遅れました」
「なんだ、帝国軍人にナンパされたか」
「は?」

冗談がきかないと分かっていながら言ってみると、冷たく反応された。
髪を1つにまとめ、目の色は綺麗なブラウンである。アジア系なのだろうが、別の血も混じっているのだろう。本人でさえ分かっていないらしい。
リナは珈琲ではなくカフェラテを頼んだ。

「帝国軍人、すごい真面目ですよね。あれなら同盟の政治家よりいいわ」
「ただ、冗談が言えない窮屈はよくないな」
「なくていいです、そんなもの。ヤン艦隊はちょっとだらしがないんですよ」
「それが正常なのさ」

お堅い彼女には気にくわないようだが、そう言いつつも第13艦隊に文句を言わず所属してきた。まんざらでもないのかもしれない。アッテンボローはカフェの出入口に目を向けた。
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