33.欲しいのは事実 1/2

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ラングという嵐が去り、また静かな日常が訪れた。
何かを思考していた方が良いと思い、多少ラングの嵐が心地よかったのではないかと首をかしげた。無駄なことはしたがらないが、無駄なことは考えたがる。カサンドラは手作りの不細工なグラタンを目の前に旦那を待っていた。
仮にも新婚、旦那を待つぐらいはした方が奥さんらしいのだろう。カサンドラは妙な点で気を使った。
大きな足音が耳に入り、お腹を満たせると満足な笑みを浮かべようとした。しかし、すぐに怒りに変わる。
足音がひとつではないのだ。
カサンドラは咄嗟にまな板を手にした。

「帰宅したぞ〜」
「人を連れてくるときは電話しろと言っただろう!!」

帰宅してまな板を投げつけられたビッテンフェルトは慌てて受け止めて、大声で返した。

「別に構わんだろ、自分たちの分は買ってあるぞ」
「あぁ、ビッテンフェルト提督それは逆効果だと」

ビッテンフェルトの返しに嫌な予感をさせたワーレンは、退散したい気持ちにかられた。

「じゃあ、いつもそうしてくださいね。
ワーレン提督、ミュラー提督、ご無沙汰しております。何もありませんが、どうぞ中へ」

言うことがなくなったビッテンフェルトの横を二人の提督は歩き去る。
焦げたグラタンしかないリビングにら、自分用に買ってきたツマミやアルコールが加わり賑やかになった。一番賑やかにさせたのはやはり人の存在だろう。機嫌を切り替えてやってきたビッテンフェルトは、明るくミュラーの肩を叩きながら笑い言う。

「ワープ実験に成功した祝いだ!!飲んでけ」
「珍しいですね、あなたなら『戦争前に浮かれてると食われるぞ』ぐらい言うかと思いましたよ」
「あのな・・・カサンドラ、おれはそんな奴なのか!?」
「あ、ワープ実験の祝いならケンプ提督はどうしたんですか」

ビッテンフェルトの質問を無視し、ミュラーに投げ掛けた。

「ご家族に会いに行かれたそうです」
「そこで彼女すらいないミュラーにはおれらでやろう、とな」
「すみません、急に押し掛けて」

ワーレンとミュラーが謝り出して、「まるでおれが悪いみたいじゃないか」とビッテンフェルトは呟いた。悪いのは確かにビッテンフェルトである。
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