9.カサンドラの恋煩い 3/3

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トマトと肉が鮮やかだ。しかしこれが本当の白兵戦後なら、食欲は沸かないだろう。
フォークで突く。嫌いというわけではないが、何故か食欲が沸かない。パンでなく米が欲しいのかもしれない。カサンドラは肉を眺めた。

「食べないと大きくなれんぞ」
「生理来るとそこで成長は止まるんですよ。
食べても太るだけですし。
なんならビッテンフェルト大佐、食べますか」
「バカかお前は。食え」

ビッテンフェルトは自分のスプーンで勝手に肉を掬い、カサンドラの口に押し込んだ。
不味くはない。軍の食事は不味い、という先入観は捨てきった方が良さそうだ。同盟は建前として命を大事に、などと言っているが食事は旨いのだろうか。飲み込みながら考える。
その目の前には、ビッテンフェルトが無理にでも口に肉を押し込む気のようだ。スプーンを構えたまま、待っている。こうして、カサンドラは世にいう「あーん」をされたことに気づいた。

「!?
自分で食べれますから、結構です。何を待っているんですか」

思い返して顔が赤くなる。
こんなときに、ビッテンフェルトが助けてくれた場面を思い出す自分が嫌になる。
なんて都合のいい女だろうか。このままでは都合よく使われる未来しか見えない、と思ったカサンドラからとは思えないような台詞が飛んだ。しかも、日本語で。

「『恋はいつでもハリケーンなのじゃ!!』」

どうでもいいが、理菜は元ネタを知らないことが後に判明する。
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