5.犬の名前は? 2/2

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「たく、ビッテンフェルトになんて言えばいいのさ・・・・・・
里親、探せばいいんでしょ!!」

今まで面倒くさそうに対応していたカサンドラが、突然そう言い出したので、女の子は驚いて見つめてくる。そして次に嬉しそうな顔に変わった。
嬉しい顔を見せられたら捨てられない、と舌打ちしてみせるが別に不愉快だからではない。食べるなら赤犬だが、こいつは食べれそうにはないなと呟くが、女の子は聞いていない。

「そうだ、次に出会った際の合言葉を決めようよ!!
で、そのワンチャンがどうなったか教えて」
「あ、合言葉!?厨二かよ。」
「だって名前は覚えにくいじゃない?」

この女の子の思考がちょっとわからないカサンドラだったが、どうせ会うこともあるまいと、適当に合わせておくことにする。合言葉の方が覚えられない気がするが、名前より短くしろと言いたいのだろうか。ここは遊んでおくことにした。

「"のばら"とか?」

自分で言い出してからあり得ないな、と思い訂正した。

「いや、それは はんらんぐん だからやめよう。
・・・・・・"ウボァー"がいいかな。被らないし、覚えやすい」
「"うぼぁー"!!うん、いいね!!
じゃあ、またいつか会おうね」

言い出してからこの合言葉もあり得ない、と気づいたがその頃には女の子はいなかった。名前をすっかり聞きそびれたが、ラインハルトの手により消え去るだろう。後悔はしないことにした。
まずはこの子犬をどうしてくれようか。ペットショップは開いているのか。なら、餌を買わないといけない。人間の残飯も場合によっては贅沢な気がした。舌を肥えさせたら、こいつの食費に金がとぶので敢えて安物にしよう。
予定より大荷物かつ、時刻オーバーしたカサンドラだったが、そんなことよりビッテンフェルトの説得の方が面倒だと思う。扉を開け、中を覗こうとしたら、ビッテンフェルトから扉を全開で開けてきた。

「その犬はなんだ、非常食か!!」
「・・・・・・あ、私ってビッテンフェルトレベルの思考なんだ」

ちょっと不愉快にならなくもなかったが、追い出せと言われないだけマシにも思った。

「里親探しをし・・・・・・」
「非常食を飼うのか。新しいな」
「聞けよ」
「で、こいつの名前は?」

勝手に飼うこと前提で話が進んでいく。長いこと戦争で不在になる軍人が、犬を飼うなど馬鹿な話にしか思えない。しかし、ビッテンフェルトに二言などあり得ないともわかっていた。この人は後先を考えてなどいないのだろう。誰かが、代わりに冷静になって言わないと壁にぶつかって走り出すタイプだ。だからオイゲンが必須なんだろうが。
ただ、飼う予定はなかったため、最低限の物しか買っていない。また、暇を見て買い物がしなければならないのか。

「ブラックハヤテ号」
「センスないぞ」
「・・・・・・フレアー、メラゾーマ、エルファイアー、メギド、メギドラ、メギドラオン・・・・・・
どれもないな。
なら、未来を見越してアルテマで。」

最弱にも最強にもなれるよ、と子犬に呼び掛けたが、わかってくれただろうか。
カサンドラはドックフードを適当な容器に入れてから、早速日記に書くことにした。日記ぐらいは日本語で書いても問題ないだろう。

【初めて日記を書いた日/晴れ(だと思った)
犬を拾わされた。合言葉は何故か"ウボァー"
元ネタわかる人がこの世界にはいないだろうから別にいいんじゃね?
本当は犬の名前をフリオニールにしたかったけど、去勢手術する予定だからやめた。
だから、アルテマ。正直、国1つ破壊するぐらい立派な犬になってほしい。】
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